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シグナルソング練習15 ページ23

ユジンが苦戦していたというダンスブレイクまで踊ると、「休憩!」と言って一旦音楽を止めた。


「確かにダンスブレイクのところは振りが拍に合ってなかったのが惜しかったかも。後でここは教えるね。まずイントロの部分なんだけど、腕はこうじゃなくてこう!やってみて」

「こんな感じですか?」

「そう!もっとかっこよくなった!あと次はね」


改善が必要な点を一つ一つ指摘しどのように身体を動かせばいいか見せると、ユジンはすぐに実践してみせた。
気になった細かな点が多かったので、歌の初めから一小節毎に確認をしていく。タブレットをいちいち操作するのは面倒だったので代わりに私が歌い、それに合わせて何度も動きを確認した。

サビ直前の振り付けまで確認を終えた頃には、壁の時計は3時半を指していた。


「3時半過ぎちゃったね、ユジナどうする?」

「あとちょっと練習したいけど、ヒョンももう眠いよね。帰ろうかな」

「僕は寝なくても平気なタイプだからまだ大丈夫だよ。でも明日もあるからユジナはそろそろ休んだほうがいいんじゃない?」

「うん、そうする...」


肯定を示す返事をくれたものの、なんだか煮え切らない様子の彼に「どうかした?」と尋ねた。


「俺、Aヒョンと明日も練習したい。ダンスブレイクまで終わらなかったし...嫌じゃなかったらで良いんだけど」


遠慮がちに言う彼が可愛らしく、「もちろん、僕で良ければいくらでも教えるよ」と二つ返事で引き受けた。


「ありがとう、ヒョン」


ずっと張り詰めた表情をしていたユジンが、花を咲かすような笑顔を見せた瞬間だった。

_________________________________________


宿舎へ戻る道すがらたわいない会話をして、私は名前しか知らなかったユジンのことを少し詳しくなった。高校生だと思っていた彼がまだ中学生だと聞いた時は騙されているのかと思ったけれど。

先にKグループの宿舎の階に着き「また明日、おやすみ」とお互いに告げ自室へ向かうユジンを見送った。ユジンが一室の前で立ち止まってドアに手をかけたのを見届けると、私は再び階段を上って一つ上のGグループの階を目指す。

「(汗かいたな...シャワー浴び直そうか...)」

背中にじわりとかいた汗を煩わしく思いながら、自分の宿舎に入ろうとした時だった。

後ろから階段を勢い良く駆け上がってくる足音が聞こえ、思わず悲鳴をあげそうになった。口を掌で押さえ階段を振り返ると、今にも泣きそうなユジンがそこに立っていた。

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作者名:すいみ | 作成日時:2023年3月12日 3時

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