花火より ページ1
Your side
部屋の窓を網戸にしておくと、涼しい風が入ってきた。
暦は8月に入り、東京は連日うだるような暑さに見舞われているが、今夜は湿気も少なくて快適な夜だ。
日が沈み、地平線のみにオレンジを残して、空は濃紺の星空へと姿を変えていく。
その移り行く景色を眺めながら、私は彼の帰りを待っていた。
｢───ただいま〜｣
帰ってきた。
『おかえりなさい』
そしてリビングへ入ってきた彼に、私はお疲れ様ですと続けて声をかける。
｢え･･････｣
しかし一方の彼は、私の姿を見た瞬間、硬直したように全ての動きを止めた。
『隆平さん？』
｢･･･何で浴衣なん？｣
戸惑いぎみにこちらを指差す彼に、私はクスリと笑う。
そして私は、ピンと人差し指を立てると、得意気な笑みを彼に向けてやった。
『───今日は花火大会にします』
『着付けできました？』
｢んー、なんとか･･･｣
彼の部屋を覗くと、スマホで検索したページと一生懸命に見比べながら、帯の微調整をしているところだった。
半ば無理矢理にお願いして着てもらったのだが、やはり良く似合っている。
洗濯しておいて良かった･･･！
｢それにしても、いきなりどうしたん？今日はどこも花火大会やってへんのとちゃう？｣
その質問に、私はにんまりとした笑みを浮かべる。
『確かにそうですね。でも、気分を味わうくらいは簡単です』
そう答えると、彼は更に不思議そうな顔をして首を傾げていた。
『じゃあ、お夕飯の支度も出来たので、こっち来てください』
そして私は彼の手を引くと、そのままベランダへと連れていった。
｢───おお！すごいやんコレ！めっちゃ夏って感じやな！これ全部Aちゃんが準備したん！？｣
『私以外に誰がいるんですか』
｢そらそうやけどさ、スゴすぎて･･･！｣
ここまでリアクションを取ってくれると、こちらも準備した甲斐があるというものだ。
実は、普段はベランダの端に追いやられているガーデンテーブルを出してきて、そこにそうめんと簡単なつまみを用意したのである。
虫が寄らないように事前に蚊取り線香を焚いておいた事もあり、その匂いも相まって夏の雰囲気をより演出している気がする。
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めめこ(プロフ) - こおあさん» ありがとうございます。とっても嬉しいです！頑張って更新したいと思います！ (2021年12月4日 22時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
こおあ(プロフ) - いつも素敵に拝見しています！私もこんな甘いリアルな橙さんが書けるようになりたいなあと思ってます！これからも応援してます！ (2021年12月4日 17時) (レス) id: 27440602aa (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - まいさん» 読んで頂きありがとうございます！コメントを励みに頑張ります！ (2021年3月12日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - バレンタイン最高でした！ホワイトデー楽しみにしてます!! (2021年3月11日 11時) (レス) id: 289a5ec9d0 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» ありがとうございます！そう言って頂けてとても嬉しいですm(_ _)m いつかヒロインの誕生日話も書けたらいいなと思っています！ (2019年11月27日 20時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年7月2日 23時
