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スタジオに戻っていく丸山の背中を見つめながら、私は鼓動の早まる心臓を落ち着かせた。
そして、もう一度口の周りをパタパタと指先ではたいて、そっと唇に触れる。
───何あれ？
『心臓が爆発しそう･･･』
ちゃんと距離を取らなきゃいけないのに、どんどん丸山のペースに呑み込まれて、そしてこの恋に溺れていく。
仕事だからと割り切って、この感情に蓋をして見て見ぬふりをしてきたのに、いつの間にか抑えきれなくなって、あの人が好きだと認めてしまった。
そこから、堕ちていくのはあっという間だ。
叶えられない恋と知りながら、こんなぬるい事を続ける自分が滑稽だった───。
ロビーの長椅子で、業務の引継ぎ書類を作成しながらリハーサルが終わるのを待つ。
少し長引いているようだが、先程中の様子を覗いた感じだと、みんなそろそろ出てくるだろう。
｢───あ！Aちゃんや！｣
ハツラツとした声に顔を上げれば、安田が満面の笑みでこちらに駆け寄ってきた。
『お疲れ様です』
｢お疲れさま〜。俺に会いに来てくれたん？｣
『んー･･･、じゃあそういう事にしておきます』
｢あはは、冗談やって。スタッフさん達と打合せか何か？｣
そうケラケラ笑って、安田がちゃっかりと隣に座る。
『はい、そうなんです』
｢ほんまに、よう頑張るねぇ｣
『仕事ですから』
私がそう返すと、安田は何度か頷いて笑った。
『･･･なんですか？』
｢ん？ "Aちゃん"やなぁ〜って｣
『え？』
聞き覚えのあるセリフに、私は首を傾げた。
確か以前、丸山にも同じ事を言われた記憶がある。
『それって───』
｢あ！Aちゃんのそのイヤホンめっちゃ可愛えね｣
私はどういう意味なのか尋ねようとしたが、それよりも早く安田によって話題を変えられてしまった。
『え？ああ、これですか？』
安田が指差す先を見ると、オレンジのイヤホンが鞄からはみ出していた。
そして私はそれを取り出すと、安田に見せた。
『これの色違いで、青もありましたよ？』
｢あ、そうなん？青は買わへんの？｣
その質問に、私は苦笑を漏らした。
『すみません、まだ買ってからそんなに経ってないので･･･』
｢あ〜、そうかぁ。まあ何個もいるもんでもないしな。人間て耳2つしかないし｣
『ん？んー、そうですね』
耳が2つしかないから、というのはイヤホンを買わない事の理由になるのか･･････。
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めめこ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！楽しく読んでいただけて嬉しいです。続編作成中ですので少しお待ちください！ (2019年6月6日 12時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 本当におもしろいです！早く続き見たいです！ (2019年6月5日 23時) (レス) id: 9dc5982e37 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» いつも読んでいただきありがとうございます！ヤキモチを通り越すくらいゆんゆさんにドキドキしてもらえるような作品にしたいと思います(笑)これからもよろしくお願いします！ (2019年5月26日 21時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆ(プロフ) - いつも更新を楽しみにしています。まるたーの私なので、上手くいって欲しいと思う反面、感情がリアルに伝わるってくるので、上手くいったらヤキモチ妬きそうで今から心構えを、なんて思ってしまいます(笑)これからも楽しみにしています！ (2019年5月26日 19時) (レス) id: e91edee03b (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - colorfulcrayon2さん» ご感想ありがとうございます！プロだなんて嬉しすぎます(><)更新頑張ります！！ (2019年5月23日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年5月3日 15時
