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店長がああ言った理由は、単純に彼の仕事態度からだったのか。
しかし、だとすると何故彼を雇ったのだろうか？
先程のやり取りから遅刻の常習犯でもあるようだし、この厳しそうな店長が彼をクビにする事もなく雇い続けている。
それが、私には不思議でしょうがなかった。
『あの、店長』
「んー？」
『どうして大倉君を雇ったんですか？』
「質問がド直球やな」
店長を見上げると、その大きな二重目と目が合った。
そして店長はニッと笑うと、顎で彼を指す。
「まあ見とき？丁度お客さんも来よったし」
そう言われ、私も黙って再び大倉くんへ視線を戻した。
確かに、丁度若い女性客がやって来たところだ。
すると、大倉君の知り合いなのか、親しそうに談笑を交わしている。
しかも、先程までの気怠げな態度が一変し、シャンと背筋を伸ばし、それはもう王子様のようなキラキラの笑顔で接客をしているではないか。
思い返してみれば、彼の容姿は端正そのものだった。
背は高く顔も小さい上、顔のパーツ全てが形良く、完璧なバランスで配置されている。
あんな人が店先に立っていたら、そりゃあ世の女性の大半はああしてふらりと吸い寄せられてしまうのかもしれない。
まさに、花の甘い蜜だ･･･。
すると、大倉君が店内に戻ってきた。
「ピンクと白系で適当に花束見繕ってや」
「予算は？」
「3000円から4000円くらいやって」
「ほんなら4000円で作るわ」
『セコ･･･』
そして大倉君は店長に注文を通すと、女性客と入れ違いに店先へ戻って行く。
すれ違いざまに女性へニコリと微笑むサービスも忘れずに。
「すご･･･」
やり口はほぼホストのようだが、ここまで仕上がっていると逆に感心してしまう。
店長の後ろで作業を手伝いながら、ついそんな言葉が漏れてしまった。
一方の店長は、慣れた手付きで適当な花を何本かずつケースから抜き取ると、それをあっという間に束ねていく。
さっきまで大倉君を鬼の形相で怒っていた人とは思えない程、繊細でスマートな仕事ぶりだ。
「毎度おおきに」
そして店長の営業スマイルは、分かりやすい程の"貼り付けた笑み"だった。
なるほど。大倉君の凄さがよく分かる。
それから暫く、店内は大倉君が店先で引っ掛けた女性客が大半を占めていた。
もしかして、店長が大倉君を雇っている理由って───。
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めめこ(プロフ) - ゆきさん» 励みになるコメントありがとうございます！✨ 更新頑張りますので、これからもお話を楽しんでください😊 (4月9日 18時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - めめこさんの書くお話が、占ツクに投稿されているお話の中で一番好きです。更新楽しみに待っています。 (4月4日 19時) (レス) @page42 id: 159543e1b4 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - アッキーナさん» 読んで頂きありがとうございます！嬉しいお言葉です✨ (2月8日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
アッキーナ(プロフ) - 素敵なお話すぎて一気に読んでしまいました！この先の展開楽しみにしてます。 (1月31日 16時) (レス) id: ee5b45e1af (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - 海嵐さん» ありがとうございます！今後の展開も楽しみに読んで頂けたら嬉しいです！ (1月6日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2023年12月29日 19時
