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「うわぁ･･･、とんでもない物好きやな･･･」
青年は半笑いでそうこぼすと、私の顔をジロジロと見てきた。
失礼極まりない人だ、とも思うが、如何せんその整った顔面を前にすると、怒りもそれ程湧いてこないから厄介だ。
すると、店の方からドスドスと荒い足音が近づいてきた。
まるでゴジラの襲来のようだ。
「おいコラたつ！また10分遅刻やぞ！なんべん言わせりゃ気ぃ済むんじゃコラ！」
「わー、ゴジラやゴジラ〜！」
そこへ現れたのは他の誰でもない店長で、顔を真っ赤にさせながら怒っていた。
しかし、一方の青年はと言うと、この鬼の形相を前に平然としてケラケラと笑っていた。
これは中々の大物かもしれない･･･。
「ホンマ次遅刻したら時給下げんで！？」
「うわ、パワハラや！」
「元はと言えば誰のせいやねん！」
なんだか、激し目の上方漫才でも見せられている気分だ。
大阪に移り住んでからそれなりの年月が経ったが、日常でここまでのやり合いを見たのは初めてである。
するとここで、火にかけていたポットが試合終了のゴングを鳴らすかのように、ピー！と笛を鳴らした。
私は慌てて火を止めると、『すいません』と小さく溢して、再び2人へ視線を戻す。
だが、このゴングによって店長も冷静さを取り戻したのか、スンと大人しくなった。
そして青年の背中をパシッと叩いて私の方へ向かせると、「ほら、挨拶せい」と彼へ声をかける。
「バイトの大倉忠義です。RDDでーす。よろしくお願いします」
不満そうに叩かれた背中を擦りながら、大倉君はペコリと頭を下げた。
『よろしくお願いします』
そう返しながら私も頭を下げる。
そして面を上げると、訝しげにしている店長の顔がすぐに目に入った。
「アールディーディーって、なんや･･･」
「リアル男子大学生」
「しょーもな」
『あはは･･･』
なるほど。"人によってはフレンドリーな職場にも感じます！"って、こういう意味か。
この2人のやり取りに、私は苦笑を浮かべる他なかった。
＊＊＊
"たつに仕事の事は聞くな"
店長から言われた言葉の意味を悶々と考えながら、私は作業台の影でコーヒーを啜っていた。
そして私の隣でもまた、店長がコーヒーを啜っている。
私達の視線の先は、エプロンのポケットに手を突っ込み、店先でただ棒立ちしている大倉君の背中に向けられていた。
正直、あの佇まいから仕事へのやる気は一切感じられない。
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めめこ(プロフ) - ゆきさん» 励みになるコメントありがとうございます！✨ 更新頑張りますので、これからもお話を楽しんでください😊 (4月9日 18時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - めめこさんの書くお話が、占ツクに投稿されているお話の中で一番好きです。更新楽しみに待っています。 (4月4日 19時) (レス) @page42 id: 159543e1b4 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - アッキーナさん» 読んで頂きありがとうございます！嬉しいお言葉です✨ (2月8日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
アッキーナ(プロフ) - 素敵なお話すぎて一気に読んでしまいました！この先の展開楽しみにしてます。 (1月31日 16時) (レス) id: ee5b45e1af (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - 海嵐さん» ありがとうございます！今後の展開も楽しみに読んで頂けたら嬉しいです！ (1月6日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2023年12月29日 19時
