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群衆の間を2人で抜け出せば、リンゴやイチゴ、杏といったフルーツが、ツヤツヤの薄い飴にコーティングされて、屋台のテーブルの上に行儀良く整列していた。
『わぁ･･･！』
その光景に、思わず感嘆の声がもれる。
ん？でも、どうして店長は私がフルーツ飴が好きだという事を知っているのだろうか？
この人に直接話した記憶はないし･･･、それとも大倉君から聞いたのだろうか？
だが、どう遡っても大倉君に話した記憶もなく、私は内心で首を傾げていた。
「どれにするん？」
『あ、えっと･･･』
しかし、その疑問をぶつける間もなく、店長に選択を迫られてしまった。
『じゃあ、イチゴで』
しばし吟味してから、私はイチゴ飴を指差す。
すると、隣から「ん」とだけ声がし、私が財布を出す前に、店長に先に支払われてしまった。
そして屋台のおじさんからイチゴ飴を受け取ると、またすぐに手を繋がれる。
それは、まるで本物の恋人のような空気感で、頭でわかっていても心が勘違いしてしまいそうだった。
『あ、あの、お金は･･･！』
「んあ〜、ええよええよ、そんくらい。はよ食べや？」
眉間にシワを寄せてオーバーに首を振った後、店長はニッコリと笑ってイチゴ飴を指差す。
『ありがとうございます』
そして緊張の中、真っ赤なイチゴの先端を噛じれば、カリッと表面の飴が割れ、瑞々しい果肉にたどり着く。
口の中に飴とイチゴの甘酸っぱさが広がり、恋の味ってきっとこんなだろうな、とか青臭い事を考えた。
すると、こちらを瞬きもせずジッと見ている店長に気が付き、私は少し考えてからイチゴ飴を彼の前に差し出す。
『･･･食べますか？』
しかし、店長はすぐに首を横に振った。
「いや、ほんまに好きやな〜思て。果物に溶かした砂糖付けただけやん」
『言い方･･････その素朴さが良いんじゃないですか。見た目も可愛いし！』
何を言われるかと思えば、愛しのフルーツ飴への批判だった。
私はあからさまにむくれた表情を浮かべると、そのままイチゴ飴にかぶり付く。
今さら欲しいと言われても、絶対にあげるものか！店長のお金で買ったものだけど･･･。
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めめこ(プロフ) - ゆきさん» 励みになるコメントありがとうございます！✨ 更新頑張りますので、これからもお話を楽しんでください😊 (4月9日 18時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - めめこさんの書くお話が、占ツクに投稿されているお話の中で一番好きです。更新楽しみに待っています。 (4月4日 19時) (レス) @page42 id: 159543e1b4 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - アッキーナさん» 読んで頂きありがとうございます！嬉しいお言葉です✨ (2月8日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
アッキーナ(プロフ) - 素敵なお話すぎて一気に読んでしまいました！この先の展開楽しみにしてます。 (1月31日 16時) (レス) id: ee5b45e1af (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - 海嵐さん» ありがとうございます！今後の展開も楽しみに読んで頂けたら嬉しいです！ (1月6日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2023年12月29日 19時
