□40(丸山side) ページ40
それから向かいの大倉はひとつ小さく頷いて、言葉を続ける。
「───俺、Aの事なんかなーんも気にしてへんかった。着信あったんも気付かへんくて、そのままスタッフとご飯行ってもうたし」
大倉の視線が、誰も居ないキッチンの方を向く。
いや、もしかしたら、その向こうにある彼女の部屋に向けられているのかもしれない。
「傘も差さんと、雨の中ずっと待ってたんやってさ。もし自分が帰ったら、俺が困るだろうからって･･･」
「･･････そういう優しい子やねんて」
「うん。それで風邪引いて、挙句今まであんな態度取ってた俺に何て言うたと思う？」
大倉の視線が、再び俺の元へ返ってくる。
「良かったですね、鍵見つかって、やってさ」
大倉の表情が、苦い笑みに変わる。
「ホンマ、お人好しのアホやで･･････」
「───それで？ちゃんと謝れたんか？」
俺は何となしに缶のプルトップをいじりながら、大倉へそう問いかけた。
「謝ったわ、そりゃ」
すると、急に子供のようにふてぶてしくなるもんだから、俺はつい吹き出してしまった。
「わっ！ちょっと飛んだって！何やねんもぉ〜」
「ごめんごめん、はい」
口元を手で拭いながら、数枚取ったティッシュを大倉に手渡す。
それを大倉もケラケラと笑いながら受け取っていた。
「あ、」
「ん？」
すると、ふと大倉が声を漏らす。
「アカン、お粥の鍋置いてきてもうたわ」
絶対カピカピになってるやん、最悪やわ。と不満のボヤキまでくっつけて、大倉が慌ただしく席を立った。
そしてリビングを出ていくその背中を見つめながら、俺はグラスの中のビールをお茶でも飲むみたいに啜る。
「はぁー･･･」
吐き出した溜息は、思っていた以上に重いものだった。
「何がこんなに気に食わへんのやろ───」
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めめこ(プロフ) - 匿名さん» 癒やしだなんて･･･！こちらこそ、ありがとうございます！ (2022年4月3日 8時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 夜な夜な作品読ませていただいています、日々の癒やしです、ありがとうございます！ (2022年3月30日 2時) (レス) @page45 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» まさにうちキュンに影響された作品です(笑)引き続き応援よろしくお願いします！ (2022年2月21日 22時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - うちキュンですね♡何か本当に頭の中にこのストーリーの映像が浮かびます(^^)応援しております！ (2022年2月20日 23時) (レス) @page24 id: bdc8ba7bac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年2月11日 20時
