□33(大倉side) ページ33
俺は慌てて上着のポケットからスマホを取り出すと、電話帳から"AA"の名前を探す。
そして発信ボタンを押すと、無機質なコール音の後に、不穏そうな彼女の声が出た。
(───はい)
「あ、もしもし･･･」
(大倉さん、ですか？どうしたんですか？私に電話なんて･･･)
「いや、あのー･･･鍵どっかいってもうて」
気不味さと情けなさで、途端にソワソワとし始める。
俺は無意識に襟足をいじりながら、彼女の反応も待たずに次の言葉を続けた。
「後で、家の近くまでマネージャーに取りに行かせるから、スペア用意しといてくれへん？」
(それなら、家に着いたタイミングで連絡頂ければ、私が鍵開けますよ？)
「いや、何時になるかわからんから」
(･･････わかりました)
何か言いたげな間だったが、彼女からは了承の返事だけが戻ってきた。
すると、部屋の扉がわずかに空いて、そこからスタッフが顔を覗かせる。
あかん、もうこんな時間か。
「じゃあ、後で指定場所送るから」
(はい)
いまいち感情の読み取れない返事を聞き届けてから、俺は電話を切った。
それから、マネージャーにカードキーの受け取りの件を伝えて、打ち合せへと向かう。
「───あるやん･･･」
本番から戻ると、控室のテーブルの上には、ずっと探していたカードキーが置かれていた。
「テーブルの隙間に落ちてましたよ」
俺のぼやきをすぐに察したのか、マネージャーからそんな言葉が返ってくる。
「ありがとお。もう絶対に失くした思ったわ」
安堵で深い溜息が出た。
すると、同時に控室がノックされ、スタッフがひょっこりと顔を出した。
その後ろには、他何名かの姿も見受けられる。
「───大倉さん、このあと一緒にメシ行きます？」
「あぁ･･･おん、行きます」
カードも無事に見つかったし、大丈夫か───。
彼らの誘いに、俺はそれ程深く考えずに頷いていた。
彼女の事は、マネージャーに任せた時点で終わったものだと、勝手に考えてしまっていたから。
「そういえば、さっきまで雨降ってたみたいっすね。地面濡れてましたよ」
「ああ、そうなん？傘持ってきてへんかったから、危なかったですわ」
スタッフとのそんな何気ない会話にも、何の違和感も抱かなかった。
彼女の性格を考えれば、すぐ分かる事だったのに───。
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めめこ(プロフ) - 匿名さん» 癒やしだなんて･･･！こちらこそ、ありがとうございます！ (2022年4月3日 8時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 夜な夜な作品読ませていただいています、日々の癒やしです、ありがとうございます！ (2022年3月30日 2時) (レス) @page45 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» まさにうちキュンに影響された作品です(笑)引き続き応援よろしくお願いします！ (2022年2月21日 22時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - うちキュンですね♡何か本当に頭の中にこのストーリーの映像が浮かびます(^^)応援しております！ (2022年2月20日 23時) (レス) @page24 id: bdc8ba7bac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年2月11日 20時
