□21(丸山side) ページ21
「ありがとう」
『･･････』
驚いたような、まん丸に見開かれた彼女の目が俺を見上げる。
そして、その目元が優しく細められ、彼女の本当の笑顔を初めて目の当たりにした気がした。
その表情を見たら、自然とこちらまで笑みがこぼれてしまう。
───ああ、そうか。
少し似ているのだ。昔の自分と。
周りの空気を読んで、波風立たないよう笑ってやり過ごす。
だからこそ、一歩踏み込まなければ本当の彼女の事など何一つ知り得ない───。
『───あ！』
「ん？」
すると、突如声を上げた彼女の眉が、再び不安げなハの字になった。
『すみません･･･さっきのは嘘で、本当はタクシー止めてなくて･･･！』
「･････････フッ」
『へ･･･？』
彼女の必死の表情に反して、あまりに軽微な心配事の内容に、つい吹き出してしまった。
挙げ句、こちらに向けられる彼女の情けない顔とも相まって、ジワジワと笑いが込み上げてくる。
「フハハ･･････ごめん、ちょっと･･･Aちゃんオモロすぎて───ハァ〜、笑ったわぁ」
『･･･私、そんなに変な事言ってましたか？』
「いや、変って言うか───Aちゃんの事、もっと知りたなったなぁ〜って」
『私の･･･こと？』
「そう、Aちゃんの事」
数秒遅れてこちらの言葉の意味を理解したのか、見る見る彼女の顔が赤くなっていく。
『いえ、そんなっ･･･私の事なんて知っても、きっとつまらない事しかないですから･･･！』
顔の前で手を必死に振って卑下する様子に、俺は小さく苦笑する。
彼女の細い手首が折れてしまいそうだ。
「Aちゃん、」
『は、は、はい･･･！』
その手首を掴んで顔の前から退かすと、俺は彼女の目線に合わせて屈んだ。
柔らかな茶色の瞳が、不安そうにこちらを見つめている。
そんなに怯えんくてもええのに。
「今日さ、お家で一緒に夕飯食べようか」
何も、特別なお誘いなんかではない。
けれど目の前の彼女は、それはそれは嬉しそうに、綺麗な笑顔を浮かべたのだった。
『───はい』
.
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めめこ(プロフ) - 匿名さん» 癒やしだなんて･･･！こちらこそ、ありがとうございます！ (2022年4月3日 8時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 夜な夜な作品読ませていただいています、日々の癒やしです、ありがとうございます！ (2022年3月30日 2時) (レス) @page45 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» まさにうちキュンに影響された作品です(笑)引き続き応援よろしくお願いします！ (2022年2月21日 22時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - うちキュンですね♡何か本当に頭の中にこのストーリーの映像が浮かびます(^^)応援しております！ (2022年2月20日 23時) (レス) @page24 id: bdc8ba7bac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年2月11日 20時
