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私は空腹すらも忘れ、新橋駅に向かってひた走る。
目の前に見えてきた信号の無い交差点も、運良く車は来なさそうだ。
後ろを振り返る事すら憚られる程、恐怖が私の足を突き動かしている。
そして、息も絶え絶えに交差点へ飛び出していくと、車のブレーキー音が私の耳をつんざいた。
視界の端に映り込んだ黒い鉄の塊に、更なる恐怖で身が縮こまる。
避けなきゃ───。
迫りくる車の影に、体を捻ろ、と必死に脳が神経を伝達する。
グキッ･･････！
しかし、捻ったのは足首だった。
運動神経の悪い私は、バランスを取り直す事もできぬまま、派手にアスファルトへ倒れていく。
手放したキャリーケースがくるくると回転しながら、車体の下へ滑り込んで行くのが見えた。
もうダメだ。私、このまま車に轢かれて死ぬんだ───。
『･････････ん？』
しかし、いつまで待っても訪れる事のない衝撃に、そろりと目を開けると、車は私の目と鼻の先で停車していた。
「だ、大丈夫ですか！？」
そして次に、男性の焦った声が耳に届く。
運転席から降りてきたスーツ姿の男性は、地面に倒れ込む私と、ボディの半分が車の下敷きになっているキャリーケースとを、オロオロと交互に見ていた。
私はのそりと上体を起こし、自分の身に何も起きていない事を確認すると、思わず安堵の溜息を漏らした。
強いて言えば捻った足首が痛むが、命に比べたらこんなのは無傷に近いだろう。
「ちょぉ何ボケっとしてんねん！救助が先やろ！」
すると、その奥から更にもう一人の男性が現れる。
茶色の髪がふわりと揺れ、整った顔立ちと口元のホクロについ目がいってしまった。
「大丈夫ですか？どこか痛いとこないですか？」
聞き慣れない関西訛りのイントネーションが、やけに耳に入った。
そういえば、さっきの人も関西訛りだったような───。
ズキズキと痛む足首を押さえながら、この状況でそんな呑気な事をふと考える。
すると突如、己の体がふわりと宙に浮いた。
『えっ･･････？』
温もりと共に近付いた男性の横顔に、お姫様抱っこをされているのだと理解する。
微かに香った清潔感のある柔軟剤の香りに、心臓がバクバクとしだして妙な緊張が走る。
「すいません、あのまま道の真ん中おったら危ないから」
私の身が強張ったのが伝わってしまったのか、男性がすぐに理由を述べる。
その優しい声色に、不思議と少しだけ心が落ち着いていった。
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めめこ(プロフ) - 匿名さん» 癒やしだなんて･･･！こちらこそ、ありがとうございます！ (2022年4月3日 8時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 夜な夜な作品読ませていただいています、日々の癒やしです、ありがとうございます！ (2022年3月30日 2時) (レス) @page45 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» まさにうちキュンに影響された作品です(笑)引き続き応援よろしくお願いします！ (2022年2月21日 22時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - うちキュンですね♡何か本当に頭の中にこのストーリーの映像が浮かびます(^^)応援しております！ (2022年2月20日 23時) (レス) @page24 id: bdc8ba7bac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年2月11日 20時
