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けれどそれ以上に、目の前の大倉さんが笑った事に、驚きと嬉しさで胸がいっぱいになったのだ。
いつもの、どこか敵視したような視線とは違う、優しく細められた彼の目に、不覚にも少しときめいてしまった。
そして大倉さんは、寝起きの少し掠れた声で言った。
「なんやねん、その情けない顔。別に取って食ったりせぇへんし」
まあでも、しゃあないか。と、最後には消え入りそうな呟きをこぼし、私の手首を掴んだまま身じろぐ。
それから彼は深く息を吐くと、再び私を真っ直ぐと見据えた。
だが、そこから何か言葉を発するでもなく、ただただ時間だけが流れていく。
こんな整った顔立ちの男性に見つめられた事など、恋愛経験の浅い私の人生では一度もない。
故に、妙な緊張が走って、頭の中が真っ白になっていく。
どうするのが正解なのかわからず、私は無意識に彼から視線を逸してしまった。
すると、彼の手がするりと私の手首から離れていった。
再びその綺麗な顔へ視線を戻せば、心情の読めない彼の瞳と目が合う。
それから大倉さんは僅かに口を開けると、少しもごついてから、また口を閉じてしまった。
───これ以上は、私の方が保たないかもしれない。
『･･･えっと、風邪引かないように、気を付けてください。おやすみなさい───』
いつもみたいに、作った笑みを口元に貼り付ける。
そしてその場から離れようと数歩後ずさると、むくりと大倉さんが起き上がった。
綺麗な二重幅の目が私を見上げる。
「───これ、ありがとう」
『っ･･･！』
大倉さんから向けられた予想外の言葉に、私は目をまん丸に見開いて、彼をまじまじと見つめてしまった。
それからすぐに自分の視界がぼやけていくのを感じて、私は慌てて頭を下げると、足早にその場を立ち去る。
あまりに驚いた。
まさか、大倉さんから"ありがとう"という言葉をもらえるだなんて。
自室に戻り、ベッドの上で正座をしながら、いまだ早鐘を打つ己の胸に手を当てる。
もしかして、これは夢なんだろうか。
そんなふうに、今しがたの自分の記憶を疑ってしまう程、あの人の言動に驚いていた。
しかしそれと同時に、こうして思わず破顔してしまうくらいに、嬉しかった───。
『───お水忘れた･･･』
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めめこ(プロフ) - 匿名さん» 癒やしだなんて･･･！こちらこそ、ありがとうございます！ (2022年4月3日 8時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 夜な夜な作品読ませていただいています、日々の癒やしです、ありがとうございます！ (2022年3月30日 2時) (レス) @page45 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» まさにうちキュンに影響された作品です(笑)引き続き応援よろしくお願いします！ (2022年2月21日 22時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - うちキュンですね♡何か本当に頭の中にこのストーリーの映像が浮かびます(^^)応援しております！ (2022年2月20日 23時) (レス) @page24 id: bdc8ba7bac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年2月11日 20時
