誰の子だって愛しい子 (ページ19)

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Part17 ページ19

……その日の夜

私はユキの寝顔を見るのが怖くて、
シルバーとセベクに寝かしつけを頼んでしまった。
今はバルコニーのベンチで暖かい紅茶を飲んでいる。

マレ「こんな所にいては冷えるだろう。」

『…マレウス』

マレウスは私の肩にブランケットをかけ、隣に座った。

マレ「今日のお前はユキの事を何処か怖がっていた様だったな。
ここの所その様な様子を見る事がある。
いや、ユキでは無いな。
ユキから垣間見える、雑種犬の面影か。」

『ｯｯ……そっか、マレウスにはなんでもお見通しだね。』

マレ「お前と僕は少しの時間しか共に居ないが、
僕は何時までもお前に興味があるぞ。
お前の濁った部分を全て聞かせろ。」

『…分かった。聞いても嫌いにならないでね。』

マレ「僕の予想通りと言った所か。
……何処に嫌いになる要素があると言うんだ？」

『え？だって！！
何時か我が子のこと嫌いになるかもしれないんだよ！！
こんな母親最悪じゃん！！』

マレ「Aは悪事を犯していないだろう。
それに、嫌わない方法はある。」

『嫌わない方法…？』

マレ「こういう事だ。」

マレウスはそう言うと私を抱き寄せた。

マレ「僕が守る。雑種犬に出会ったとしても僕が指1本も触れさせない。
他にAに恐怖が押し寄せようとも僕がすべて消し飛ばす。これでもう雑種犬が怖くないだろう？
雑種犬が怖くなければ、ユキも怖くない。」

『ありがと、マレウス。
でも、なんかプロポーズみたいだね(笑)』

マレ「……Aは、僕がお前を好いていると言ったらどうする。」

『え？』

マレ「もう、我慢ができない。
耐えようとするがお前への想いが溢れ出てくる。
恐らく、この気持ちの事を”恋”と言うのだろう？」

マレウスは頬を紅潮させ、私を包む手の力を強めた。

『……私もマレウスの事を想ってるって言ったらどうする？』

マレウスは一瞬目を見開いて、私の唇に目を向けた。

マレ「…そうだな、この美しい唇を奪う」

そう言って、マレウスは指で私の唇をなぞった。

『じゃあ、奪ってよ。マレウスなら怖くないから。』

私は瞳を閉じてマレウスを待った。
すると、ﾁｭｯと可愛らしいリップ音が響き、
私はもう1回、もう1回と子供のようにマレウスを欲しがった。
じきにキスは深いものへと変わり私達はベットルームへ移動した。

その夜はそれはもう美しい満月が世を照らしていて、
私達の一夜を見守っていた。