僕達の過去2【深川緋斗、金色愛誓】 ページ27
「あーやめてやめて、殺そうとしないで、ウザったいなぁ」
愛誓は迫り来る緋斗の腕に手錠を付けた。
緋斗は手錠を見つめる。どこにそんな力があるのか、大きな音を立てて緋斗の腕についた手錠は鎖が割れ、二つに分かれた。
「君みたいなモヤシのどこにそんな力……あーステイステイ、待てだよ」
愛誓は頭を抱えた。力が強すぎる。扱いきれるだろうか。頭脳戦なら負けることは無いが、流石に肉弾戦は誰よりも弱いと言える。
「…………」
光を失った瞳で愛誓を見つめていた緋斗は、不意にその場に落ちていたガラスの破片で愛誓を刺した。愛誓も気付いてはいたが、そんな俊敏な動きが出来るはずもない。
「やんちゃだねぇ。まぁその位が丁度いい。君の愛の証でしょ?」
緋斗の刺した愛誓は崩れ、暗闇の中からもう1人の愛誓が現れる。
緋斗はゆらゆらととした足取りで現れた愛誓に近付く。ただ、流石に負荷が大きかったのか、足がもつれてその場に倒れる。
人間かと問いたくなるように唸っている緋斗の目の前に愛誓は座り込み、両手で包むように緋斗の顔を持った。
「君はね、これから私の手となり足になるの。大丈夫。君がどれだけ殺しに来ても私は死なない。君の愛の形を受け止めてあげる……まぁ、効果が無くなれば、君も次を連れて来るだけの人形になるんだけどね」
緋斗の干渉しやすい性格に、愛誓の歪んだ知識が混ざった。
愛があれば、従わずして居られない。それも、安い愛じゃない。
相手を殺してしまいたくなるほどの、重い愛を。
(○・ω・)ノ----end-----
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