僕の過去【深川緋斗】 ページ20
「いってきます」
いつもと同じ様に
いつもと変わらない扉を開けて
いつも通りに登校する。
自転車に跨って、ゆったりとこぎながら、学校を目指した。
「なァ緋斗!宿題見せてくれね?」
「うん、いいよ」
「深川〜 今日の日直変わってくんね?」
「うん、分かった」
これは別にイジメではない。
僕は決して浮いていないし、避けられてもいない。少し小突かれたりするのは単なるスキンシップ。当たり前の事。
それに、僕はどちらかと言えば"いじめる側"の存在。
「…………」
1人の男子が教室に入ってくる。頬には絆創膏を貼り、夏なのに長袖を着ている。
彼は自分の机があるであろう場所で立ち尽くす。
まぁ、座る椅子も鞄を置く机も無ければ、立ち尽くすのは当たり前か
僕がやった訳じゃない。僕が指図した訳でもない。
周りでクスクス笑う女子も、彼を蹴って罵倒する男子も、自分達の意思でやってるんだ。
正直、吐き気がする。
吐き気がする訳で吐く訳では無いが、好き好んで見たい光景ではない。
彼が長袖を着ているのは、勿論怪我を隠す為。
そして男子達もバレないように、服で隠せる所を蹴って、殴っている。
一瞬、彼と目が合った。
涙を貯めて、少し血が出ていて、助けを求めている。
僕は目を逸らした。
運動場を見て、見たものを忘れる事にした。
僕以外にも"見て見ぬふり"をする人は沢山いる。このクラスなら、半数以上。
でも、それって責められる事じゃないよね。
だって人って、そういうものでしょ?
こんな、ただの学生である僕が、どうしてあんなことに…まぁ、後悔はしていない。昔の自分ならしていたかもしれないけど。
彼女に出会っていなければ__
2人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ