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暗黒と黒【黒柳暗亥】 ページ19

「…はァ」

部屋で一つ、ため息を付く。

幸せが逃げてしまうよ、そう言ってやりたい程深く、長く。

そんなため息をつくのは黒瀬剣士 ラビッシュの首領。

確かに、書類や大人への恨みでストレスや疲れがたまるのは分かる。

しかし、今回のため息は違う。

「…そんな所に隠れてないで、出てこい」

剣士は本棚に向かって話しかける。

傍から見れば痛い光景だが、剣士は大真面目だ。

「あははっ バレてたか」

本棚の影から 黒い物体が伸びる。

それは見る見るうちに色がつき、影から離れた。

「いつもいつも勝手に入るな」

「別にいーじゃねーか 減るもんじゃなしに」

「色々減るわ」という剣士の声を無視して椅子に腰掛ける。

身長は剣士より少しだけ高く、同じ黒髪だが長さも質も違う。

そんな男の名は、黒柳 暗亥

戦闘部隊のしがない隊員。

そんな彼が、首領である剣士と親しく出来るのはラビッシュだからこそだろう。

「なぁコーラ」

椅子に深く腰掛けクルクル回りながら

背もたれに首を乗せて振り返る。

「ここは店じゃねーぞ」

そう、ここは店ではない。剣士の部屋だ。

しかし、暗亥はお構い無しに「コーラコーラ」と言い続ける。

そこはせめてコーヒーやお茶を頼めばいい物を、身体は育っても、下は成長していないらしい。

「…ほれ」

剣士はコーラを暗亥に向かって投げる。

「危ねぇだろぉ?」

そう言いつつも、しっかりとキャッチして蓋を開ける。

その瞬間、剣士の口角が上がった。

「……ぅお!?」

開けた途端、コーラが泡を立てて溢れ出す。

暗亥は驚いてコーラを持った手を遠ざけながら椅子から立ち上がった。

「…お前ぇ!」

「wwww」

剣士はわかっていてやったのだろう。少し離れた所に立っていた。

「服汚れたじゃねーか!」

「お前もこの前やって来ただろ!」

高校生の様な口喧嘩が始まる。

2人は、年齢で言えば高校生、こうであるべきなのだ。


だが、高校にも行かず、大人達に歯向かう道を選んだ。


それぞれの志を胸に、歯向かい続けるのだ。


剣士も暗亥も、ずっとこの関係であると思っていた。

どちらも欠けることなく、ずっと。

僕の過去【深川緋斗】→←深川×金色【デジタル】



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作者名:紅葉 x他3人 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2018年7月15日 18時

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