Story19 ページ22
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病室をでれば、執務室へ向かう。
普段はもちろんジョルノの部屋ではあるわけだが
この一風変わった部屋が意外と良いのだ。
滅多に人も来ず、静か。
それに加え、セキュリティもばっちりと
こもって考え事をするには十分すぎる環境。
｢みっともないところ見せたな｣
歩けば頭が冷えてきたのか、己の情けなさに
泣きたくなる気持ちを抑え、ソファへと座れば
落ち着いたトーンが心地よい、そんな声に
話しかけられた。
『どうした、お嬢さん。元気がないな』
｢っ、｣
『中で話しを聞こうか？』
きゅっと唇を結び、ひとつ頷けば
手を招かれ手を伸ばせば、
驚き動揺するのも束の間、中へと入れば
そこはどこかの一室か。
そんな空間が広がっていた。
｢すごい…｣
『驚いてくれたかな？』
｢うん、アリスにでもなった気分よ｣
それにポルナレフさんが大きい、こうやって面と向かって話せることがすごく嬉しい。
と、笑ってみせれば、頬杖をつき｢よかった｣と
微笑むポルナレフなのだった。
『体調はもう大丈夫なのか？大変だったそうだな』
｢うん大丈夫。自分の不甲斐なさを思い知ったところ｣
『ふっ…そうか』
｢声をかけてくれてありがとう、ひとりであそこに座ってたら変なモードに入りそうだったかも｣
『喧嘩でもしてきたのか？』
｢ううん、でもフーゴに当たり散らしちゃった｣
『それで反省していたということか』
｢情けないなって思う？｣
『いいや？そんなこと日常的によくあることだ、私も仲間によく迷惑をかけていた』
『いや、"も"は、失礼かな。君より余程私の方が仲間によく迷惑をかけていたと思うよ』
｢ポルナレフさんが？そうは見えないけど…｣
そうか？と微笑めば"エジプト"への旅路について
話してくれる彼はどこか懐かしみ、
愛おしそうに話す。
きっと彼にとって、美しい思い出なのだろう。
私には想像もできないそんな旅をしてきたんだろう、と感じれば時がすぎるのもあっという間であった。
『みんなが、あいつらがいたからあの旅は本当に楽しかった』
｢素敵なお話しね｣
以前ジョルノから聞いたことがある気がする。
前パッショーネのボスと、彼は渡り合い
1度は敗北をするも、彼はその手腕で未来をつかんだと。
そうか、あの時、連絡がとれなくなった相手は
話しに出てきた"彼ら"のことだったのか。
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作者名：松雪 | 作成日時：2019年6月13日 17時
