2 ページ25
「ジフン、私...」
「わかってる、今は忘れられなくてもいいから。俺がお前の隣にいたいんだ」
あの時の俺の顔は、多分今までで生きてきた中で一番男らしかったと思う
自分で言うのもなんだけど
それくらい、Aに夢中だったから
「...はい」
そう言って優しく俺の手を握り返してくれたAの笑顔を、俺は忘れないだろう
それからAと過ごす毎日は宝物のようにキラキラしていて
高校は違うけれど、時間が合う時はお互い一緒に帰ったり
部活の応援にも来てくれたり、お弁当だって作ってくれた
人生初めての彼女がAで、本当に良かったって、心から思う
だけど、たまに携帯を見ては悲しい顔をする彼女を、俺は知っている
見て見ぬフリをして、Aと過ごす一瞬一秒を毎日大切にしていた
心のどこかでは、わかってるんだ
お前は、本当は...
〜♫
Aと2人でジュースを飲みながらいろんな話をしていた時
突然テーブルに置かれていた携帯が震えた
それは紛れもなく彼女のものだ
携帯を手にとった彼女は、またあの悲しい顔をする
そして静かに電源を切ると、再びいつもの柔らかい笑顔で
「ごめんね、携帯ばっかり見て。うるさかったでしょ？電源切っといたから」
やめろよ、なんなんだよ
なんで、そんな泣きそうな顔するんだよ
なんで違う男を想って、そんな顔するんだよ
「別に、うるさくないよ」
本当は知りたい
君にそんな顔をさせる男が、どんな奴だったのか
その男にどんな風に笑いかけて、どんな風にキスをして
どんな風に愛し合ったのか
「ごめん、ちょっとトイレ借りるわ」
せっかくAと一緒にいるのに、こんなことばかり考えるなんて
頭を冷やそうと、部屋から出て階段のそばのトイレへ入ろうとした時
パタッ
俺の手が触れて、棚に伏せてあった写真立てが落ちた
拾って立て直そうとした時
俺の手はそれを阻止した
だってそこには
幸せそうに寄り添って笑う、Aと知らない男が写っていたんだから
そして、写真立てに挟まっていた小さいメモ用紙に書かれていたのは
『Aへ
君と過ごせて楽しかった
幸せになって
ジス』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 252人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アナゴ | 作成日時：2017年4月21日 23時
