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言葉が出なかった



だって俺は、こんなに幸せそうに笑う彼女を知らなかったから



その笑顔は、今まで見てきたAの笑顔の中で一番美しくて



一番、嫌いだと思った



たまに、Aが俺に何かを言おうとする時がある



申し訳なさそうに、辛そうに



だけどその言葉を、俺は望んでない



まだあの人を忘れられないから、こんな気持ちで俺と付き合っていても、2人のためにはならないって?



そんなの、知らないよ



それをわかってて、俺はAに告白したんだ




だけど、本当にそれでいいと思ってる?



この男のために涙を流すAに、俺はこの先も変わらぬ笑顔で



Aの気持ちに気づかないフリをして、過ごしていくんだ



それでいい?


ほんとに?


だけど、一緒にいたい


この男にも、他の誰にも渡したくない




部屋へ戻ると、あの日のように俯くAがいて



俺に気づくと、また明るく笑うんだ



「ジフナ、今度一緒に映画観に行かない?面白いのやってるよ」



ごめん、今はその笑顔を見たくないから



そっと彼女の隣に腰掛けて、ぎゅっと抱き締めた



「ジフナ?」



「少し、このままでいさせて」




俺しか見えなければいいのに



もし一つだけ魔法が使えるなら



どうか、この人を自分だけのものにさせてください



それが許されないのなら



どうか、彼女に出逢う前の自分に戻してください



「A、俺のこと」


「好きだよ」



俺の言いたいことがわかったのか、俺の言葉に自身の言葉を被せた彼女




「好きよ、ジフナ」




何番目に?



そんな言葉を飲み込んで



泣きそうな顔で好きというAを、まだこんなにも愛しいと思うんだから




「俺もだよ」




Aのそばにいることができるなら



代わりでもいい




苦しんでもいい




彼女の気持ちに気づかないフリをする、最低な男でいさせて




*黒い涙__ウジ__

1 *swimming fool ホシ→←2



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作者名:アナゴ | 作成日時:2017年4月21日 23時

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