8 ページ22
戦闘が始まって数分、私達は相手の猛攻を凌いでいた。頼むから、このままトリオン切れで撤退してくれ。
気を抜けばどれも致命傷に至る攻撃を防ぎつつ、やはりそれは難しいかと考える。本当は温存したいが仕方がないと腹を括ってSEを使用した。
途端、全員の動きが止まって見える。これこそが、私の最大の強みだ。あらゆるものの動きを捉え、相手の視線や予備動作から行動を予測し、対策を立てて反撃する。それと同時に、ゆっくりになった世界で冷静に思考することができる。
こちらが優位のまま、焦った彼らがこのまま部隊を分断させて玉狛に向かう……なんてことはまずないだろう。理由は二つある。
一つは玉狛にいるレイジさん達、玉狛第1の存在を考慮しなければならないから。ボーダー最強の部隊と、戦力が分散した部隊で戦わせることなんて、風間さん辺りは絶対にしない。
もう一つは、失敗が許されないから。忍田本部長派と玉狛が手を組んだ時点で、戦力は完全にこちらが上回っているのは火を見るより明らかなこと。確実に黒トリガーを奪取するためには、今夜のチャンスを逃すことは許されない。
その焦りを利用し、どこまで冷静さを奪えるかが勝負だ。
『……次はこっちを分断させに来ますね』
私達は5人まとまって行動し、相手と少し距離をとった。SEを解除して向こうの思惑を伝えると、迅さんには嵐山さん達に何人か担当してもらうだけでもかなり楽になるから問題ない、と笑って返された。
「風間さんがそっち行ってくれると嬉しいんだけど、こっち来るだろうな」
「うちの隊を足止めする役ならたぶん三輪隊ですね。三輪先輩の「鉛弾(レッドバレット)」がある」
『もうじき米屋と古寺もこっちに来るでしょう。迅さん、私も嵐山隊につきますか?』
「いや、Aはおれのサポートに回ってくれ」
『了解です』
最終的に、どうせなら分断されたように見せかけて、こっちの陣に誘い込んだらどうですか、という木虎ちゃんの策を使わせてもらい、嵐山隊とはここで一旦離れることになった。
「おっ、来たな。うまいことやれよ、嵐山」
「そっちもな、迅」
嵐山さん達が足止めの相手をしている間に、私達は太刀川さん達をトリオン切れで撤退させる。気を引き締めて、飛んできた攻撃をスコーピオンで受けた。
1096人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
海道蓮(プロフ) - 紅羽さん» ご指摘とコメントありがとうございます!楽しみにしていただけて何よりです(´∀`)これからもこの作品をよろしくお願いします! (2022年7月22日 0時) (レス) id: abb6677f28 (このIDを非表示/違反報告)
紅羽(プロフ) - 初めまして。防衛任務からの2、3話ほど、古寺が小寺になっていましたよ!気になってしまったので指摘させていただきました。お話とても面白かったです!次の更新を楽しみにしています! (2022年7月20日 22時) (レス) id: 9cf5eca61b (このIDを非表示/違反報告)
海道蓮(プロフ) - ななちさん» コメントありがとうございます!返信が遅くなってごめんなさい!やっと現実の方が落ち着いたので、どんどん更新したいと思います!これからもこの作品をよろしくお願いします! (2021年2月27日 2時) (レス) id: 3f508cdd1a (このIDを非表示/違反報告)
ななち(プロフ) - 思わず一気読みするぐらいすごく面白かったです。主人公ちゃんの性格も好きだし、台本読みでもなく文も読みやすい。丁寧な描写で読んでいて引き込まれました。これからも更新頑張ってください (2021年2月16日 0時) (レス) id: e6a7dee876 (このIDを非表示/違反報告)
海道蓮(プロフ) - 碧さん» ありがとうございます!!なるべくたくさん更新できるように頑張りますので、これからもこの作品をよろしくお願いします! (2021年1月24日 7時) (レス) id: 3f508cdd1a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:海道蓮 | 作成日時:2021年1月10日 0時