空腹 智 ページ31
ここに来てから、どれくらいだったのかな
部屋から出されても
検査のようなことをされるだけ
ご飯も貰えなくて
点滴に繋がれている
潤くんのご飯食べたいな
俺、撮影行けないな
迷惑かけちゃうな
始まったばかりなのに
コンサートも、できないのかな
しばらく、ぼーっとしていると
壁の隅から、なにか空気が
漏れるような音がして
眠気に襲われ気を失った
目が冷めた頃には事務所の地下室のやうに
ガラス張りの部屋の中
硬いベッドに寝かされ
拘束されていた
さっきまでとは違う、なにかが始まる
そう感じた瞬間
ぼくの、頭には苦しかった実験を思い出し
体が震えだした
いやだ、ｯ怖い
研[起きたか
思い出したか？モルモット
5年の実践でS5まで成長するとはな
体もその能力に慣れてきたろう
そろそろ、もうひとつ増やせるんじゃないか]
うそだろ、むりだ
だって松兄はもう、すでにむりやり
抑えてるだけだって
これ以上は、僕の身体は耐えられないだろ
研[水と氷の適正があるからな
植物なんてどうだ？]
いらない
いやだ
研[じゃ、始めようか]
そう言うと隣の機械が動き出し
僕に透明な液体が流れ込んでいく
嫌だｯ
いたいｯ
僕の中の何かが膨らみ
はち切れそうな感覚がしたときだった
・・・・・・・バンｯ
大きな音が聞こえたと思った瞬間
電気が全て切れ、器械が止まった
暗闇に慣れてきたとき
隣には翔くんがいて拘束をすべて解いてくれた
[しょｯ．．ｸｯ．．．]
翔｛声はまだ出さないで
音を立てずに、ベッド降りて
俺の背中に乗って
もう、大丈夫｝
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作者名：O.Shi | 作成日時：2023年1月24日 21時
