出陣 ページ42
kn side
『さて、そろそろ出陣よ。準備しましょう。』
長の一声で、俺とショッピは気を引き締める。と同時に、やはり悲しくなってきた。
『荷物はあるかしら？』
kn「おう！必要最低限な物しか入っとらんけど一応持ってきたで。」
長は俺の返答を聞くと、荷物を貰うと言って、俺らの荷物を持った。そして、インカムに何かを話しかけた後、すぐに扉がノックされた。
『どうぞ。』
扉が開いたその先には、黒い軍服を着た男が立っていた。
「失礼致します。『殲滅卿』様、馬車の準備、整いました。何時でも出発可能です。」
「御苦労様、ソール。この荷物を馬車に積み込んでおいて。その後、例の場所に馬車を付けておいて頂戴。」
長がそう言うと、男･･･ソールと呼ばれる男は御意。と一言告げる。
『あぁ、2人には紹介していなかったわね。彼はソール。貴方達を我々国まで運ぶ優秀な馬車の御者よ。』
長がそう言うと、ソールは俺らにぺこりと頭を下げる。
「お初にお目にかかります。私λ国三大卿専属執事、執事長のソールと申します。本日はコネシマ様とショッピ様を我々国までお送りさせて頂きます。宜しくお願い致します。」
丁寧な言葉遣いに芯のある声。ソイツは執事長でありながら様々な人間から信頼を得ているであろう事が容易に想像できた。
「では『殲滅卿』様。こちらのお荷物、お運び致します。」
『えぇ、よろしくねソール。』
ソールは静かに微笑み、御意と一言告げ、部屋を出た。
『彼、とても良い子だから警戒しないであげて。何かあったら相談すると良いわ。』
俺とショッピが警戒しているのが分かったのか、長は困ったように告げる。
kn「･･･それもそうやな。送ってもらう立場からしたら、失礼やったな。ショッピ、殺気しまい。」
そう言うと、ショッピは大人しく殺気をしまった。それを見た長が告げる。
『上からの通達があった。出陣するわよ。』
俺らは静かに頷き、武器を手に取る。俺は長からもらった剣。ショッピは同じく長からもらったスナイパーライフル。長は腰に掛けた刀に手を当てながら、俺らを見て言った。
『決して貴方達を死なせたりしない。無事なまま我々国へ送り届ける。私に命を預けなさい。』
今まで聞いた事のないような透き通る、それでいて威圧感のある声で長は告げる。面で顔は見えないが、窓から差し込む朝日に照らされた長の黒髪が、この時ばかりは、酷く儚く見えた。
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作者名：＊ | 作成日時：2020年9月8日 8時
