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バッティング練習をしに来た如月は、集まる視線を気にする事なくバットを手にした。何を考えているのか理解し難いその表情で、鼻唄を歌いながら軽く素振りをする。そんな如月を近くで見ていた岡本は、側にいた中野のユニフォームを引っ張った。
中野「どうしたの」
岡本「なぁ、如月さんってよく分からへんよな」
中野「和真も人の事言えないけどな。……でもAは皆が思ってるほど悪い人じゃない」
岡本「でも正直近寄り難いわ。如月さんと話してるのお前か湯浅くらいちゃう?後は必要最低限の会話しかしてないよな」
中野「まぁ、本人があんな性格だし…。大谷さんとも挨拶してたけど空気ヤバかったわ」
岡本「まじ?おっかな」
中野「でも野球の実力は確かだから。大谷さんと同じ二刀流、メジャーに行ってもおかしくないレベルなんだけどね」
岡本「如月さんの投げる球マジ打ちにくいし、それは言えてる」
てかさ。そう呟いた岡本は如月から中野に視線を変える。
岡本「如月さんって野球楽しんどるのかな。あんまりそう感じへんから」
中野「………それは本人しかわかんないな」
言葉を濁らせた中野に岡本は相槌を打ち再び如月に目線を戻す。飄々としている如月が本気で野球に取り組んでいるのか、それともただ仕方なくこなしているだけなのかは誰にも分かるはず無かった。
ダルビッシュ「A君。良かったら練習付き合ってくれない?」
「…俺ですか?」
ダルビッシュ「そう。俺の投球練習とA君のバッティング練習も兼ねて、丁度良いと思ってね」
「まぁ別に構いませんけど」
ダルビッシュと如月の練習に注目が集まる。誰もが練習の手を止めて二人に注目していた。投げられた球はボールかストライクか危ういものだったが、如月はバットを振らずに見送る。試合であれば恐らくあれは__ボールと判断されるだろう。
ダルビッシュ(当たり前だけど球の見極めがきちんと出来とるな。フォアボールで出塁するチャンスを少しでも作れるように)
次はストレート。そう心で呟きダルビッシュは球を投げる。真っ直ぐやってきた球をバットの芯で捉えると、そのまま気持ちの良い打球音と共に空高く上がった。
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キョンシー(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (12月19日 8時) (レス) @page3 id: 84d2022181 (このIDを非表示/違反報告)
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