6話 ページ7
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「...Aさん」
『ジャミル君か。』
授業も終わった夕暮れ時、中庭の掃き掃除をしている雑用係の元へスカラビア寮副寮長、ジャミル·バイパーが訪れた。
どこか疲れきった暗い顔をした彼に、彼女は微笑んだ。
『...今日もよく頑張ったな。』
「！！」
俯いたまま何も言わないジャミルに、Aは何かを察して頭をふわふわと撫でる。
ジャミルは甘えるように彼女の肩にトン、と額を預ける。
「...今日は、テストで100点を取れた。」
『すごいじゃないか、沢山勉強したんだな。』
「...飛行術の授業で褒められた」
『バルガス先生が生徒を褒めるだなんて珍しいな、やっぱりジャミルはすごいな。』
「...カリムの間食を作った。」
『勉強も運動もして主人の世話も完璧にこなす、えらいじゃないか！』
雑用係はわしゃわしゃーっとジャミルの頭を撫でくりまわした。
疲れ切っていたジャミルは彼女の手の温かさに、鼻の奥がツーンとして泣きそうになっていることに気づくと、慌てて目に力を入れて涙を堪えた。
「...今度、Aさんのカレーが食べたい...」
『ふふ、いつでもおいで。』
ジャミルは雑用係のことが好きだった。
疲れた時、頑張った時は甘やかしてくれるし、イタズラにニヤリと笑うその笑顔に胸がいつも煩くなる。
どうしようもなく彼女の笑顔が欲しくて欲しくて堪らないし、初めてカリムにだって渡したくないと思った存在だった。
＿＿＿だが聡い彼にはわかっていた。
彼女が自分といる時でも、どこか遠くを見つめていることを。
寂しげに、悲しげに。
...それでいて、酷く愛おしげに空を見つめるその瞳は、何かに焦がれている色を宿していた。
忘れられない、誰かがいるのだろうと。
「(...それでも、それでも俺は...)」
＿＿＿今更彼女を諦めることなんて、できやしないのだ。
(蛇の執着)
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あ - 面白いです…！！これからも更新頑張ってください！ (7月10日 18時) (
レス) @page9 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
脅威のセラフ - 夢主さん、うちに嫁に来ないかい？大事にするよ (2020年12月28日 21時) (レス) id: 285d3eca52 (このIDを非表示/違反報告)
あるみく - うぅ……グスッ……、夢主の気持ち切な過ぎて……グスッグスッ………泣けます…… (2020年11月25日 22時) (レス) id: 8de5b8d706 (このIDを非表示/違反報告)
お水とお餅(プロフ) - フグ刺し.......派手柱か......？う〜ん( ´〜｀) (2020年10月3日 17時) (レス) id: c273debe8e (このIDを非表示/違反報告)
あるみく - ジャミルとの絡みでものすごくニヤニヤしてしまいました！これからも頑張ってください！ (2020年10月3日 14時) (レス) id: 8de5b8d706 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おいしいくじら
| 作成日時：2020年8月16日 2時
