【呪術廻戦】狗巻と黛はすこぶる仲が悪い

伍 ページ6

五条side



『せんせ、これなに？』

「んー…中トロ？いや大トロかな」

『食べてい？』

「いーよ、今日は奢り」

『やった！』



憂太が上手く機嫌を取ってくれたのか

それとも怒りを鎮めて笑顔を向けているのか


俺には普段と違いが無さそうに見えるから

分からないけど


"棘"から帰ってきたAは

ニコニコと笑っていた



いつの間にか寿司奢ることになってたけど



『せんせ、私と喧嘩するの嫌なの？』

「えっ、憂太がなんか言ってた？」

『んー…特にはなんも』

「……そりゃあ、君が僕を気に入ってるように僕も君を気に入ってるからね」

『へぇ、いがーい』



…怒ってる様子ではない

根に持たれてる感じもない



こいつの呪言に使う呪力は

こいつ自身の怒りからくるものだ


だから小さい頃から些細なことにも

怒るように育てられてる


こいつが小さなことでキレるのは

戦闘に備えた準備のためだ



だから、俺相手や仲間相手に

怒りの情を強く持たれるとしんどい


いざ俺相手に呪言を使われた時

俺に向けた怒りの呪力はまっすぐ当たる


例え耳から脳をカバーしていても

全てを防げるか分からない



全く面倒な呪いだよ


絶対に怒らせない自信があったから

俺にしか使うななんて約束させたのに



『せんせ？』

「…ごめん！僕は先生だからどっちの味方かとか、そんなことは言えない。人がいるとこでは」

『別に…先生が味方じゃなくても』

「聞けA、先生の僕はみんなを見なきゃいけない。けど、五条悟はお前を見てる。お前だけだ」

『……嘘だ、先生はいつも何かを見てる。何を見てるの…？』

「っ……」



バレてる


俺はこいつに、昔の自分ともう一人

傑の面影を見てる


こいつの呪言は自身への縛りが強すぎる


怒りなんて、ずっと怒っていなきゃ

いけないなんて


いつか絶対に爆発する


その時、傑のようにその怒りが

非呪術師へ向いたら？


俺たちを裏切ったらどうする



俺はこいつをどうにか助けてやりたい


だが、先生としていつか俺が

こいつを始末しなくてはいけなくなったら


俺はこいつを殺せるのか


傑の背中に、何も出来なかったように

こいつのことも俺はきっと…



『…いいよ、私に重なった何かを見てても。せんせが私に優しいのはほんとだもん』

「A…」

『私にはそれで十分。もう怒ってないから、安心していいよ』




もっと必要だ


俺と憂太じゃ足りない



Aの全てを肯定する、味方が…

.

陸《歓迎会》→←肆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す