【呪術廻戦】狗巻と黛はすこぶる仲が悪い

拾柒《記憶》 ページ18

虎杖side




目が覚めると

どこか見覚えのある男の人がいた


覚醒し始めた頭で思い出したのが

学校でのあの出来事



呪いの存在

気を失った先輩達

呪いの籠った指

大怪我を負った伏黒

目隠しをしたでかい男

マスクで口を隠した不機嫌そうな女の人



全部、思い出した




あの時確かに、俺は呪いを喰った


俺がただの人間じゃなくなった

瞬間だった






あの後、あの目隠しの先生

もとい五条先生が出した提案に乗った



宿儺の器は今後現れないかもしれない


だから今殺すよりも

全ての指を喰わせてから殺せばいいと



俺はもちろん殺される気なんてさらさらない

死刑なんてごめんだ


でも今死ぬことを回避するためには

宿儺の指を回収して喰う


それが唯一俺に出来ることだった




「…なぁ、呪いってそんな強いもんなのか？その宿儺…ってやつも」

「オメェの中にいるんだぞ、分かんねぇのかよ」

「んなこと言っても…」



五条先生の提案には

俺が呪術高専へ入学することも含まれていた


成り行きでも転校しないといけないのは

少し名残惜しい気もする


何しろ受験受けて入学してから

まだ数ヶ月だし




「……そんなに気になるなら、五条先生にでも聞けばいいだろ。あれでも一応先生なんだから」

「ちょっと恵、聞こえてるよ？」

「聞こえるように言ってんですよ。だいたい、なんでA先輩いないんですか」

「A…？あ、あのマスクの人？」

「今お前が生きてんのあの人のおかげだからな、会ったら「さん」くらいつけろよ」

「へぇー」



ちなみに名字呼ぶとキレるらしい


確かに伏黒は女子のこと名前で

呼ばなそうなのにその人のことは名前呼びだ


キレられるからそうしてんのか、なるほど



「で、なんでいないんすか。あの人も一応この任務の担当ですよね」

「んー、熱」

「は？」

「え、体調悪いの？大丈夫？その…A、さん先輩」

「大したものじゃないよ。昨日の夜向こうまで送ってきたから、硝子が診てくれてるはずだ」

「…あの人でも熱とか出るのか…」

「こら恵、あいつも人間だよ。こっち来た時からちょっと具合悪そうだったし、安静にさせないとね」




まぁそんなもんか


確かにあの時、見えづらかったけど

顔色悪かった気がする


あれはそういうことだったのね



俺あんまあの人と話してなかったし

なんにも知らねぇけど


心配する権利あるかな


分かんねぇ



まぁ今度会ったら仲良くなればいいか


.

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