【呪術廻戦】狗巻と黛はすこぶる仲が悪い

拾陸《5》 ページ17

伏黒side




『ところで恵ちゃん』

「？はい」

『あの子誰？』



10秒間だけという制限を課して

宿儺に代わった虎杖と五条先生が戦う中


分析が終わったのか暇を持て余す

A先輩がおもむろにそう質問してくる



「？…虎杖ゆう」

『あー違う違う、それは知ってる。そうじゃなくってさ』

「あぁ…呪術師ではない普通の人間でしたよ。呪いも見えない普通の…」

『もっと教えて』

「え、あー…あ、じいさん亡くしたらしいです、今日」

『…ふーん』



なんだ、自分から聞いておいて



こんなに馬鹿っぽいのに

頭いいのが腹立つんだよな


さっきの分析の件もそうだ


自分で自己完結出来るほどの

莫大な知識と高い解析力を持ってる


そこには少し憧れる



『そろそろだね』

「…はい」




7、8、9とカウントする五条先生を見て

A先輩は少し楽しそうに笑った



入学してから今まで

俺はよくこの人を支えてきたと思う


けど現状、禪院先輩やパンダ先輩より

低い信頼度なわけで


それだけ心の壁が厚い



その壁を限りなく薄くできたのは

この五条先生と乙骨先輩だけ


一体何やったらこの人に

ここまでの笑顔を向けられるんだ




「おっ、大丈夫だった？」

「驚いた、本当に制御できてるよ」

「でもちょっとうるせーんだよな、アイツの声がする」

「それで済んでるのが奇跡だよ」



にこやかな声色とは異なり


先生が虎杖の額に触れた瞬間

虎杖はガクッと崩れ落ちた



「何したんですか」

「気絶させたの。これで目覚めた時宿儺に体を奪われていなかったら、彼には器の可能性がある」

『先生、真面目に先生してください』

「してるよ？さて、ここでクエスチョン。彼をどうするべきかな」

「……仮に器だとしても、呪術規定にのっとれば虎杖は処刑対象です。




でも死なせたくありません」




だってこいつは、こいつは…




「私情？」

「私情です、なんとかしてください」

「クックック。かわいい生徒の頼みだ、任せなさい」

『先生、ちゃんと先生してくださいって言ったでしょ。私は反対、私より強い呪いを見逃すわけがない。器だろうがなんだろうが殺す、今彼が気絶しているうちに殺す、それが最善』

「A、先輩…」




やっぱり、反対するよなあんたは


分かってた




だけど…





『……でも、かわいい後輩がそこまで言うんだから先輩は聞かないといけないね』

「！！」

「ふふっ、良かったね恵。優しい先輩で」

「…はい」


.

拾柒《記憶》→←拾伍《4》

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す