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『あ、の…』
「ん?」
『変なこと聞きますけど…左馬刻さんのどこに、その…憧れたんですか?』
昔の左馬刻さんを俺は知らない
けど、今の左馬刻さんはなんというか
大人っぽい
比べるものがないから程度は
分からないけど
そりゃ、怒ったら怒鳴るんだろうし
仮にもヤクザだから口悪いし
多分きっと、優しさなんて言葉
似合わない人なんだとは思うけど
やっぱりどこか落ち着いてて
余裕を感じる
あんまりはしゃいだり、笑ったり
そういうのはしない
だから
昔の左馬刻さんを知りたくなった
今とは違う
昔の左馬刻さんを
「そうだな…これが俺もよく分かんねぇんだわ!まじで」
『…え』
「昔っつっても今とそんなに変わんねぇし、当時基本俺はパシリだし、あいつが兄貴分って感じだっただけだ。これといって憧れる要素なんてなかったよ」
『でも…左馬刻さんみたいになりたかったんですよね?』
「あぁ、なりたかった。だってカッケーだろ、あいつ」
よく分からない
そんな顔で見ていると一郎さんは笑った
「まぁなんつーか、一番は人柄だよな。大っ嫌いだけどよ、あん時はあいつのそれに惹かれたんだと思うよ」
『人柄…ですか?』
「あぁ、俺にはないもん持ってる…あいつに偽善者って言われて、まぁ本人には言い返すんだけど…すんなり認めちまうのにはそれなりの理由があってさ」
『はあ…』
「俺にはお前の全てを受け入れられる器はねぇ。けど、あいつにはバカみてぇにでけぇ器があんだよ」
『!……』
確かに、左馬刻さんは優しい
見ず知らずの俺を拾ってくれた
けど、優しさで言ったら
一郎さんの方が優しいと思う
いや、拾ってくれたことは感謝しても
しきれないくらいの恩だけど
ここまで気を回してくれるのは
どっちかって言うと一郎さんだ
「お前顔に出るな、不思議そうな顔してる」
『あっ…』
「まぁ確かに、あんな奴にそんなもんあるわけねぇって思うよな。俺も思う」
『は、はあ…』
「でも、それがあながち間違いじゃないんだ。これは優しさとかじゃなく、考え方の違いなんだろうけど…あいつ、自分の利害に一致すればいいと思ってんだ」
『えっと、どういう…?』
「偏見とかそういうのがねぇってこと。周りの意見じゃなく、あくまで自分の意見貫くんだ。俺は多分、それに憧れた」
キラキラとした一郎さんの目が
過去の左馬刻さんを思わせた
一郎さんの中の、左馬刻さんを
.
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絵描きさん(プロフ) - ぺらさん» 分かる(´-ω-`) 左馬刻様をもっと普及させるためにも頑張ります〜 (2018年12月9日 0時) (レス) id: 2c9b4e9ca8 (このIDを非表示/違反報告)
ぺら(プロフ) - もう、推しが尊い (2018年12月5日 5時) (レス) id: 30c81c3732 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絵描きさん | 作成日時:2018年10月18日 14時