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重い愛 ページ2

『ママ!遊びに行ってくるね!』

「気をつけてね、暗くなる前には帰ってくるんだよ?」

『分かってるよ!』


まだ幼い時の俺

まだ自分の体を嫌いになる前の頃


俺は根っからのお母さんっ子で

いつも優しい母が大好きだった


でもその頃から

俺は少しずつ普通の女の子ではなくなった


遊びはいつもボール遊びだった

毎日泥だらけになっていた


友達は男ばかりだった

女の子とは気が合わなかったから


スカートを選ぶことはなかった

いつもズボンにTシャツだった


髪は短いのが好きだった

いつも耳が見えるくらい短くしていた


でもそれは活発な子供だったから

親はなんの反対もしなかった


『お母さん、髪伸びてきたから切りたい』


中学生になった

俺はまだ髪を短くしていた


セーラー服なんて似合わない


男らしい髪型に

運動ばかりで筋肉のついた体


そこから少しずつ崩れていった


「ねぇ、また髪切るの?」

『え?うん、だって長いのなんて嫌だし』

「でも今でも十分短いわよ、女の子なんだからもっと伸ばしてもいいんじゃない?」

『………うん』


大好きだったお母さんも

日に日に嫌に見えてくる


どうしてそんなに反対するんだろう

何も迷惑はかけてないのに


「好きな服選んできな?」

『うん』


身長が伸びて新しく服を買ってくれる

ことになった


当然のようにメンズのコーナーへ進む俺を

いつもため息混じりに見ていた


そしてある日、母は俺に言い放った


「どうして男っぽい服ばっか買うの?どうして女の子らしく出来ないの」


目に見えない何かで体を抑えられたように

やけに体が重かった


頭が真っ白になって何も考えられなかった


その頃には、もう自分が他と違うことに

気づいていた


自分が男として生きることを

望んでいることも


自分の心が男であることも


だからその時の衝撃と言ったらなかった


あぁ、"俺"じゃダメなんだ

"私"じゃないと


じゃないと見てくれないんだ

認めてくれないんだ


ここに、本当の自分でいられるところは

ないんだ


そうしたら、大事で大好きな家族が

急に冷めたものに感じた


ここの人達にとって、俺は娘で

男らしいってことを個性としては見れない


女は女らしく、そういう理想を

ただ押し付けてくる



女らしくない俺を


誰も愛してはくれない


.

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絵描きさん(プロフ) - ぺらさん» 分かる(´-ω-`) 左馬刻様をもっと普及させるためにも頑張ります〜 (2018年12月9日 0時) (レス) id: 2c9b4e9ca8 (このIDを非表示/違反報告)
ぺら(プロフ) - もう、推しが尊い (2018年12月5日 5時) (レス) id: 30c81c3732 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:絵描きさん | 作成日時:2018年10月18日 14時

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