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「んだてめぇ」
「ちょっ、左馬刻!絡み酒はがらわりぃぞ」
「うっせぇ!」
あれ、なんでこんなとこいるんだ
どこだここ…
『あ、あの…』
「あー、悪ぃな!こいつ酒癖悪いから…」
『あ、いや…大丈夫です』
そうだ、家出てきて
とりあえずフラフラ歩いてて…
変なのに絡まれるわ
ここどこか分かんないわ
ろくな事ない
「てめぇこんな時間に何してんだよ、ガキが一丁前に家出か?」
「おい、いい加減にしろって…」
「何が不満か知らねぇけどよぉ、たいして辛くもねぇくせにイキってんじゃねぇっつの」
「ほんとわりぃ!気にしなくていいから!あっ、でも確かに早く帰れよ?親心配してんだろうし」
酒に飲まれた怖い人と
優しそうでチャラい男の人
どっちかって言ったら黒髪の人がいいな…
って、またこれか
男を見るとタイプかどうか見定める癖
「おれぁなァ、まともな親なんてんなもんいなかったけどよぉ…でも、大事なもん守ってきたんだよ…てめぇにもあんだろが」
「おいおい、知らねぇ奴に説教かよ…はぁ、んで俺がこいつの世話しなきゃいけねぇんだよ勘弁してくれ…」
「おい、いちいち口挟むな。あまっちょろいガキに教えてやってんだよ」
「何をだよ、お前よりよっぽどまともな奴に教えることなんざねぇだろ。もぉ帰んぞ」
「まだだ…まだ終わってねぇ」
なんだこれ
俺は何を見せられてんだ
「お前の親はお前を大事にしてくれてんだろ?」
『……え?あ…』
「いーよ答えなくて、どうせ酔い覚めたら覚えてねぇんだし」
「どうなんだよ、殴られたりしてんの?邪魔者扱いとか?それともそういう処理に使われてる?」
「おい馬鹿…最低だぞそれ」
『お、俺…は』
なんだ、なんだこの人
なんでそんなこと聞いてくるんだ
「言ってみろよガキ、どうなんだよ」
「左馬刻っ!もういいだろ」
「なぁ言ってみろよ!辛くもなんともねぇんだろ!!」
あ、この人…
愛されなかったんだ
だから、幸せな家庭が憎らしいんだ
『俺の親は、俺を殴ったり邪魔者扱いしたりとか、そんなことしません』
「…ハッ、じゃあそんなお坊ちゃんはさっさとうちに帰れ」
『ただ!』
「あ?」
『……ただ、俺の居場所がないだけです』
しんとなって誰もそれ以上口を開かない
うるさく絡んできた人も何も言わない
俺は俯いて黙りこくった
知らない人に何言ってんだ
馬鹿らし
その時だった
目の前に雨のような雫が落ちた
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絵描きさん(プロフ) - ぺらさん» 分かる(´-ω-`) 左馬刻様をもっと普及させるためにも頑張ります〜 (2018年12月9日 0時) (レス) id: 2c9b4e9ca8 (このIDを非表示/違反報告)
ぺら(プロフ) - もう、推しが尊い (2018年12月5日 5時) (レス) id: 30c81c3732 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絵描きさん | 作成日時:2018年10月18日 14時