【男主】木葉秋紀の憂鬱【木葉秋紀】 (ページ3)

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「Aくん…」

気持ち悪い

ねっとりした気味の悪い声で俺を呼ぶ

名前も知らないおじさん

『んっ…ね、おじさん…今日サービスするからさ、っ…』

「いいよ。お金多めに…ね？」

『ぅん、…』

いつもお金くれるおじさんは

サービスすればするだけお金くれるから

好きなんだけど

好みのプレイが変わってるから

正直しんどい

でも一番気持ち良くしてくれるし

あいつのことも忘れられる

「はぁ、はぁ、可愛いよAくん…」

こーいうのは嫌い

汚いし気持ち良くもない

すぐ萎えちゃうからそもそも選ばない

「A…もうやめろよ」

そう言うあいつの顔を頭から消したい

消えてくれるのはその場限りだけど

それでも、その一瞬は罪悪感とか全部

なかったことにできるから

「はい、今日は6万でいい？」

『えぇー、いつもよりいっぱいサービスしたじゃん。もうちょっとだけ、ね？』

「…いつも呼ばれるこっちの身にもなってくれよ本当…Aくんも、まだ高校生なのに無理すると大事な時に使い物にならなくなっちゃうよ」

『……ははっ、なにそれー』

こいつもダメだな

いい歳した大人はガキの俺をそうやって

叱ってくることが多い

自分だって俺でスッキリするくせに

どんなに可愛がられたって所詮

あいつらの目当ては身体だけだ

金を払う代わりに好き勝手できる

男だから余計に

それでもこいつみたく話の分かる

相手は沢山いた

いいとこの会社員で沢山お金をくれる

都合のいいやつ

『…結局6万かよ、くそ』

今日も、全て終わったらあいつのいる

家の隣に帰る

あいつの部屋の向かいの部屋が

不幸にも俺の部屋で

寝ているはずのあいつは

俺が帰ってきたことに気づくと

わざわざ窓を開けて様子を見てくる

深夜回ってるから声をかけてくることは

少ないけど

本当に、懲りずに俺の帰りを待ってる

『……あき…』

そう一言だけ口にすると

我慢して話しかけに来なかったあいつも

心配そうに話しかけてくる

「どこ行ってたんだよ」

『あきが行ったことないようなとこ』

こいつ、意外と女の子にはモテてて

普通に女好きなくせに

バレーが大事なのか初体験はまだ

済んでない

「…いつまでそうしてる気だよ」

『あぁそれ、相手のおじさんにも同じようなこと言われた』

「……ふざけんな」

泣きそうな顔を最後にあいつは

部屋に引っ込んだ

その日から

あきは俺のすることに何も言わなくなった

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