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「…本当にいいんだね」

『うん』


授業参観当日

大宮は最終確認をしてきた


始めるけど大丈夫?

という意味じゃなくて


後戻りは出来ない

現実を受け入れる準備は出来ているか


そういう確認だ


勿論、辞めるなんてことは無い

俺が決めたことだから


「ほら、あれでしょ?」


少しずつ集まってきた保護者達

その中で一際若い男が一人


父さんだ


『…お兄さんは?』

「まだ来ないよ、鉢合わせにならないように遅く来るように言ったから」

『そっか、良かった』


父さんが大宮とのことを知ったら

父さんも周りもざわつくだろう


大宮のお兄さんが同じ場にいれば

弁解は不可能になる


だから、良かった


『じゃあ…それとなく気付かせてみる』

「うん、何かあったら言ってね」


応援の受けて父さんの所へいく


寄ってきた俺に気付いた父さんは

嬉しそうに頬を緩ませた


「Aはいつもこのクラスで過ごしてるんだな…」

『そうだよ、バカも多いけど良い奴も沢山いる。友達も出来たし』

「…このクラスにはいるのか?お前に告白した女の子」

『いな……あ、いや…一人かな』


事実、このクラスにはいないが

俺は大宮と付き合ってるんだ


矛盾のないように慎重に返していく


「そっか…どの子?」

『あの子、隣の席なんだ』


大宮を指差すと気付いた大宮が

手を振ってきた


俺はそれに笑って返す


言葉で父さんに伝えるのはダメだと

昨日話し合って


言葉ではなく行動で伝えることになった


父さんへの少しの配慮のつもりだ


「…仲良いんだな」

『うん、女子の中では1番かな。父さんもこの間会っただろ?』

「え…」

『俺が倒れた時、保健室にいた奴だよ』

「あぁ、あの時の…」

『よく世話になってるんだ。ちょっと馬鹿だけど面倒見も良くて優しさもある…だから結構甘えちゃうんだよな』

「…へぇ」


大宮を出来る限り褒めて


俺の他の友達よりも大宮が大事だという

オーラを撒き散らして


普段しないような目で大宮を見る


俺が普段、父さんにするような

愛おしいものを見る目で


「………」


黙りこくった父さんに


これからどうすればいいのか分からず

嫌な汗が伝うのをただ感じていた



言いたい


誰よりも父さんが俺の1番だよ

父さんとずっと一緒にいたいよ


だから、そんな顔しないでって


『…とうさ』

「一ノ瀬くん」




呼ばれた名前に掻き消されるほどの

その小さな声は、父さんには届いてくれ

なかった

.

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絵描きさん(プロフ) - 明日さん» ありがとうございます! (2018年6月5日 21時) (レス) id: 2c9b4e9ca8 (このIDを非表示/違反報告)
明日 - 面白いo(^o^)o (2018年6月5日 20時) (レス) id: 95997606da (このIDを非表示/違反報告)
れもん - まじですまじです!!!笑笑 逆にこんな最っ高な小説作ってくれてありがとうございます!!更新頑張ってください!! (2018年5月30日 23時) (レス) id: 146c5095a1 (このIDを非表示/違反報告)
絵描きさん(プロフ) - 歌人さん» ありがとうございます!頑張ります! (2018年5月30日 20時) (レス) id: 2c9b4e9ca8 (このIDを非表示/違反報告)
歌人 - ビックリしたー。普通にそらるさんが息子で男主が父親かと思った(バカ←   この作品の設定とか物語とかメチャクチャ自分好みです!!更新頑張ってください。 (2018年5月30日 20時) (レス) id: fe07654674 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:絵描きさん | 作成日時:2018年4月28日 11時

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