1 絶品ランチ! ページ2
あと数分、と時計と睨めっこをしているとお待ちかねの鐘の音が学園中に鳴り響いた。教師の今日はここまでという言葉を合図に教室は打って変わり、ザワザワと一気に賑やかになった。
やっと4限目の授業を終えてお楽しみのランチタイムに自然と心が踊った。ふと隣から視線を感じ、気づいた私は顔を右に向けた。
「なんだ、随分と楽しそうな顔して。よっぽどお腹が空いていたのか?」
ドン、と大きな包を机の上に置きこちらを見ている彼はクラスメイトのトレイ・クローバー。大人しく真面目そうな見た目はまさに好青年、といった感じだ。
「…今日はクローバーお手製のサンドイッチを食べれるから、ずっと楽しみにしてたんだ」
トレイの作ってきたサンドイッチを取ろうと手を伸ばすと突然目の前に人影が現れた。驚いたトレイが物凄い顔をしていたが、多分私も同じ顔をしていたのだろう、小柄な男子は楽しげに良い反応じゃ!と笑っている。
彼もまた私のクラスメイトで名前はリリア・ヴァンルージュ。可愛らしい見た目とは裏腹に老人のような口調で話す変わった人だ。
「なんじゃ、お主ら。今日はトレイの手作り弁当を食べるのか?勿体ないのう、知っておればわしも手作りの菓子を持って来てやったのに…」
しゅん…と残念そうに肩をすぼめて見せるリリアには申し訳ないがアレを食べるのは中々骨が折れそうだ。
「……っ、手作りのお菓子はまたの機会にしてもらうとして…ほら、沢山あるからリリアもどうだ?」
焦りながらも何とか話を逸らすトレイに心の中で手を合わせ感謝する。口を膨らませ拗ねていたが食べ始めるとやはり上手いのぅ、とご満悦の様子に安心した。私もいただきます!と声をかけ、美味しそうな具材の覗いたサンドイッチを口いっぱいに頬張った。
36人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
き司 - あ''あ''あ''あ''好きです〜!もう本当にしんどい、、、、、好き、、、更新待ってます! (2021年7月1日 22時) (レス) id: fbf19c4046 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:成瀬 | 作成日時:2021年1月6日 0時