音駒のマネは地獄耳！？(4)

161話 ページ18

今回私は下のベンチに座る事は許されなかった

分かっていたとはいえ…結構ショックだが

これも優ちゃんがこういった大会になれるチャンスだと思えばどうって事ないのだが

なんか私よりもベンチに入れと言われた優ちゃんの方が落ち込んでいる


『…優ちゃん』

浅霧「どうしてAさんがベンチに入れないんですか…」

『仕方ないよ、私昨日倒れちゃったし』

浅霧「でも…」

『私は優ちゃんを信頼してるから安心してベンチを任せられるんだよ、だからさお願い、ね？』



どうしても納得がいかないのか

優ちゃんはずっとムスッとした顔で椅子に座っている


浅霧「…私この試合は絶対Aさんにベンチに入っともらいたかったんです…」

『え？私に？』

浅霧「これを逃したらもう…Aさんがゴミ捨て場の決戦を近くで見られないかもしれない…もしかしたら来年は出来ないかもしれない…」

『優ちゃん…』




あぁ…この子は本当に…




誰よりも優しい子…




『ありがとう優ちゃん…そこまで考えてくれてたんだね』


浅霧「…ごめんなさいAさん…私、Aさんになんの恩返しも出来てないです……」ｸﾞｽｯ


『泣かないで優ちゃん』


静かに、静かに泣く優ちゃんを抱きしめて背中をさする

私は本当に良い後輩に恵まれた

だってこんなにも人のことを思って泣いているのだから



『言ったでしょ優ちゃんは笑った顔が1番可愛いの』



あの時の私が優ちゃんにピンを付けた時見せてくれた笑顔は


まるで空に光る太陽の様に暖かくて


野に咲く花のように穏やかだったな



『お願い優ちゃん、笑って』


浅霧「ｸﾞｽｯ…え…？」


『私ね優ちゃんの笑った可愛い顔が大好きなの』


浅霧「Aさん…」



俯いている優ちゃんの両頬に手を当て

顔を覗き込みお互いの額をコツンと合わせる



『それにね…』


浅霧「？」


『優ちゃんが泣いてると私ももらい泣きしちゃう…』ｸﾞｽ


浅霧「止まりました、泣かないでください」キリッ


『おぉw』



さっきまでの感動的な展開は何処えw



『まぁとにかく』


浅霧「笑顔ですねわかりました」



そう言って優ちゃんは

私に向かってニコッと眩しいほどの笑顔をくれる


『応援してる』


黒尾「あ、お前らここにいたのか」


研磨「そろそろ行くよ」


浅霧「あ、はい」ｽﾝｯ



戻ったw



黒尾「Aは俺らの勇姿2階から見といてくださいよ」

『うん見てる』

黒尾「おう」



行ってらっしゃい


頑張ってね

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