魔と人間のハーフの子(3) (ページ44)

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『化け物…』

長尾「咲耶」

『ん…』

長尾「俺は正面から行く、お前は後から頼む」

『了解…』

景に言われた通り私は女の背後に移動する

息を潜め、気配を消して回り込んだはずなのに

ギョロっとした女の大きな瞳が私を捉えた

『ｯ…！！』

〘可愛ィ…可愛いワぁ……〙

『な…んで…』

〘綺麗ネ…キレーねえェ〙

『その…声…は……』

先程まで前方にいたはずの女は

いつの間にか私の背後に立っていた

そして、その白くしなやかな腕で私を抱き締め

細く鋭い爪が頬を撫でる

止まらない冷や汗と悪寒

そして壮絶な混乱の中私はただ立っていることが限界だった

『ア…サヒ…』

違うコイツはアサヒじゃない

分かっいる分かっているはずなのに

身体が…動かない…

〘キめた…キメたわァ〙

〘ワタし、貴女にスル〙

『…アガｯ…』

〘ね、咲耶チャン…〙

『な…で……アサヒ…』

身体から力が抜ける

でもその代わりに、生々しい魔力が私の中に流れ込んできた

痛い…痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

助けて嫌ダ…嫌……

「おい…」

だが、そんな苦痛は

次の一言と共に消え去った

〘ｯ…！？あ"ぁ"あ"ァ"ア"ｯ！！！！〙

『け……い…』

朦朧と、軽くなった意識の中

彼の腕の中で私は彼の顔を見た

生理的に出た涙でボヤけていたが

溢れ出る殺気の中、せっかくの美しい顔が歪んでいる

そして、そこで私の意識も途切れた