41.煽り ページ41
夏輝side
長野での撮影を終え帰ってきた午後11時
自宅に帰らず、まっすぐに帰ってきたのはAの家
いつもAが夜遅くまで起きてるのを知ってるから、こんな遅い時間でも躊躇なく来てしまった。
だけど、それが良くなかったんだ。
呼び鈴を押してもAは出てこなくて、電話も繋がらない
もう寝たのかな〜なんて呑気に考えてると、暗闇で手を繋いでこちらに向かって歩いてくる2人の姿が見えた
それが、Aと黎弥だってことはすぐにわかった
ゆっくり近づき、2人の前に立つとAは目を開いてびっくりしていた
繋いでいた手をAからゆっくりと離している
澤「2人で何してたの？」
「ご飯食べに行ってたんだよ」
澤「……付き合ってんの？」
「…まさか」
澤「黎弥、これでもAは女の子だよ？早く家に返さないと。」
「え？これでもってなに」
いつものようにツッコミを入れるAは、その場が修羅場だなんて当然わかってない。
黎弥はAの事が好きなんだろう。
多分黎弥も、俺がAを好きだってこと気づいてる
だから、俺の言った事が気に食わなかったんだろう
それはそうだ、わざと俺が煽ったから
黎「俺帰るわ。今日はありがと」
「あ、うん。おやすみ」
それだけ言ってAに手を振って来た道を折返し、すぐそこのマンションに入っていった
澤「遅い」
「え、ごめん」
澤「男と女2人っきりで何かあったらどうすんの？」
「どうしたの？夏輝くん怖いんだけど、」
澤「…心配してんだけど」
「今も男女で2人っきりだよ？」
ダメだ、A。なーんもわかってない
澤「俺はいいんだって。」
「なんか夏輝くん、漫画とかで出てくるお父さんみたい」
Aは俺の事なんて何とも思ってないから、こうやって俺が欲しくない言葉ばかりを口にする
せめて、彼氏みたいって言ってくれたら嬉しいのに。
…絶対ないけど
「あ、それでこんな時間にどうしたの？」
澤「突撃訪問しようと思って。これ、長野のお土産」
と紙袋を見せた途端、Aの目がキラキラと輝き出した
「わーい、とりあえず上がりなよ」
そう言っていつものように部屋にあがらせてくれたA
澤「ねえA、わかってる？俺以外の男こうやって簡単に部屋に上げちゃダメだからね？」
「はいはい、夏輝くん以外の男の人家に上がらせたことないから大丈夫だって」
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作者名：まここここ | 作成日時：2023年5月27日 23時
