ネコみたいな〜瀬口黎弥〜 (ページ40)

今日:24 hit、昨日:103 hit、合計:24,716 hit

40.ぎゅページ40

Aside

もつ鍋をたらふく食べた後は、そのまま帰路につく

黎弥の「歩かない？」の一言でタクシーに乗るのはやめて
店から家までの約30分を歩いて帰ることにした

黎「おいしかった？」

「うん、めちゃくちゃおいしかった！ごちそうさまでした」

お会計は黎弥が知らない間に、済ませてくれていたのだ。

黎「なんかテンション高くない？笑」

「え？そう？」

黎「ずっとニコニコしてるもん笑あ、4杯も飲んだから？」

「そんなことないよ……わっ！」

黎「…ぶな、、大丈夫？」

ちゃんと下を見ていなくて段差につまづき転びそうになったのを、黎弥が肩を抱いて止めてくれた

「うん、大丈夫。ありがとう……って黎弥の方が顔赤いよ。酔ってるでしょ？」

黎「…あれくらいで酔うわけねえだろ！これはAが！………あ、いや…転けると思ったから焦っただけ」

目線を下に落としてそう言った

……嘘ついた？
黎弥はわかりやすい。初めて会った時からそうだった

でも今のは、何の嘘をついたのよく分からない

モヤモヤはしたが、めんどくさいから考えるのはやめた

暫く歩いていると、前から酔っ払ったおじさんの集団が歩いてくるのがわかる

うわ〜、結構酔っ払ってるな、、なんて遠目で見てもわかるほど

そんな時、遠くにいるおじさんが私たちの方を指さした

私の方に一直線で向かってきてるような…？そんな気がする

その途端目の前が黎弥の背中で見えなくなり、さりげなく私の手を握る

それを見たおじさん達は舌打ちしながらどこかへ行き、黎弥は最後まで私を見えないようにカバーしてくれた

それから15分ほど歩いたが手は繋いだままでお互い何も喋ることはなく静かな街の中、ただただ心臓の音だけがうるさかった。

そんな時見えた黎弥が住んでるマンションと、その先にある自宅

ああ、もうちょっとで着いちゃう、

なにこの感情…

いつもは早く家に帰りたくて堪らないのに、今は家に着いてしまうのがすごくいやだ

そんなことを考えていると、すでに黎弥のマンションの前に着いてしまった。

「……じゃあ」

そう言って手を離そうとした瞬間

黎「まって」

ギュッとさらに強く握って、手を離してくれない黎弥

「な、に…？」

黎「…送る」

「10秒くらいで着くよ？笑」

黎「いい。送る」

結局ほんの10秒の距離をまた2人、手を繋いで歩き出した。