それは愉快な魔法 ページ9
頭の中で柄を思い浮かべる。確か、あんなんだったか。
｢ではいきますよ！｣
そう言って彼は魔法を唱え始めた。
光のベールに包まれた次の瞬間。
私の服装は、先程とはうって変わり美しいものへと変わっていた。要所要所汚く汚れていたシャツとズボンは
私が思い浮かべていた服を完璧に再現されていた。
｢わぁ！｣
｢.......凄いですね。ここまで綺麗な服、初めてお目にかかりました。｣
｢これ、私の住んでた国の伝統的な服なんです。
着物って言うんですけど、他の国の方にも人気なんですよ？｣
｢人気の理由が分かります。｣
成人式で着るはずだった母のお下がりの着物。
成人式を迎える前に父に、売られ、その金はパチンコへと流れた。結局成人式前に死んだから、なんとも言えないが。
｢これが、その男の子から貰ったネックレスですか？｣
｢そうです。｣
｢恐らく、この子、魔法使えますね｣
｢.......わかるんですか｣
｢人魚の姿から人間の姿に変わったはずです。それは紛れも無い魔法ですね。
それと、微かに残っているんですよ。持ち主の魔力が。｣
｢へぇ、移るものなんですね。｣
｢匂いと一緒だと考えたらわかりやすいかもですね。｣
｢なるほど｣
あぁそうだ、と話を切り替える彼女。
｢男物もあるんですよ。着物もありますが袴というのが主流でしてね。まぁ、今は特別な日にしか着ないんです。｣
｢特別な日、とは？｣
｢そうですね。子供の入学式や卒業式に着られる奥様方は多いですね。男性の方はスーツが多いですが。
あとは、冠婚葬祭ですかね。
.......それと、成人式。
私の住んでた国では、20になる男女は成人式で着物や袴を着られる方が多かったですね。｣
｢貴方確か.......｣
｢そうです。今年です。今年の冬に、成人式があったんです。でも、もう、今となっては過ぎた夢ですけどね。｣
｢でも、嬉しいです学園長さん。
この着物、実は母のお下がりなんですよ。
袖を通しす前に父に売られてしまって。
だからもう一度着れるなんて、思ってもなくて。
本当にありがとう｣
そう涙ながらにお礼を言う彼女に、あぁなんて可哀想な子なのだろう、と思ってしまった。
ここまで酷い仕打ち、聞いたことがなかった。
庇護欲が掻き立てられるその姿にため息を零す。
この子は放って置いたらダメな気がした。
このままここから追い出せばあれよあれよとどこかの誰かに誘拐され、売られでもして、死んでいってしまいそう。
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Ria*(プロフ) - すみませんごめんなさい…。前にしたコメントゆっこさんのことを呼び捨てに…！！わざとじゃないんです、ごめなさい！ゆっこ"さん"です！訂正させてください！！ (2020年8月6日 10時) (
レス) id: 33e95337be (このIDを非表示/違反報告)
白玉の星(プロフ) - 速く………………速く………………思い出してほしい…これからも頑張ってください……………… (2020年8月5日 21時) (レス) id: 897ea2c55e (このIDを非表示/違反報告)
ちぃすけ。(プロフ) - 全編見たとき泣きました…（ ; ; ）この作品が今までで一番好きです！！更新ものすごく楽しみにしてます！！頑張ってください！ (2020年8月5日 20時) (レス) id: 0f6c0c9d97 (このIDを非表示/違反報告)
Ria*(プロフ) - 続編心待ちにしてました！ゆっこの作品大好きです！これからも楽しみにしています！！ (2020年8月5日 18時) (レス) id: 33e95337be (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - 名前変換させてほしい… (2020年8月5日 12時) (レス) id: ed99c8170d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆっこ | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/novel/series/1297564
作成日時：2020年8月4日 20時
