呪霊になった弟 ページ35
柊優、と呼べばその呪霊はこちらを見て静止した。
「ほんと、久しぶりだ。私がいなかった時、クズ共に何もされなかったか?」
一歩、近付く。
五条が動く気配がした。
それを夏油が止めていた。
呪霊は静止している。返答はない。
「出来れば、生きて笑顔でお前に会いたかった。
喋りたかった。」
一歩、近付く。
銃を手にしていたから触れることは無かった。
「お前は幸せであってくれ。
死してなお憎悪で何の関わりもない人の命を無闇矢鱈に消して欲しくない。
だから、私にお前を
右手が上がる。
銃口がそれに向く。
『..........。』
呪霊はただこちらを見るだけだった。
静かにただ、こちらを。
「....あとで、迎えに来て」
──響く、銃声。
貫通した場所から呪霊のからだは崩れていった。
『──姉さん。ありがとう。』
完全に消える瞬間、そう聞こえた。
柊優の声だ。柊優がそう言った。
「ごめん.....ごめんなぁ....柊優ッ」
嗚咽混じりにそう言った。
お前を健康でいさせてあげれなくて。
お前ばかり負担をおわせて。
お前を置いていってしまって。
お前を守ることが出来なくて。
ごめん。
謝罪の言葉が溢れる。
どう足掻いても思い浮かぶのは柊優に対する後悔だった。
でも、それ以上に柊優を大切に思った。
たった一人の弟。たった一人の理解者。
大好きな大好きな弟。
「うああああああッッッ!!!」
──そして悲劇は幕を閉じた。
私の青春は決して青いとは言えなかった。
血で染った赤い春だった。
.
「───よって、聖Aは秘匿死刑とする」
そう言い放たれ、現に今、私は拘束されている。
「....あーあ....死ぬのかー」
「もっとムードとか無いの」
明らかに暗い声音の硝子がそう言う。
まだ泣いてないって感じ。
硝子の言葉にうーんと少し考える。
「....まぁ、そうだよなって気分。
あの事件を起こしたことに後悔はしてない。寧ろやって当然だと思う。」
実際私の家は界隈的に意外と地位が高く。
死刑になるのは目に見えて分かってた。
分かってたけど、あぁでもしないと柊優が報われないと私のエゴが動いた。
でもね、と言葉を続ける。
「自分が死ぬのは怖くないよ。
柊優が待ってくれてるから。
...でもね、硝子。私は硝子たちを置いていくのがすごく嫌だ。」
あぁ、死にたくなくなってしまう。
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∞輪廻∞(プロフ) - 猫餅さん» 教えて下さりありがとうございます...!早急に直しますね。ご指摘感謝です! (2021年8月22日 21時) (レス) id: a7a0dcccc8 (このIDを非表示/違反報告)
猫餅 - 冥さんの漢字が瞑になってます。。。 (2021年8月22日 16時) (レス) id: da7b97d38e (このIDを非表示/違反報告)
∞輪廻∞(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうごさいます!!五条オチの話も考えておきますね。リクエストありがとうございました! (2021年5月28日 22時) (レス) id: a7a0dcccc8 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年5月27日 17時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
∞輪廻∞(プロフ) - アオイさん» 感謝の気持ちで溺れそうです....!!コメントありがとうね! (2021年1月26日 20時) (レス) id: a7a0dcccc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∞輪廻∞ | 作成日時:2020年12月20日 0時