色褪せた氷の華 ページ21
──分かっていた。自分が特別であると。
知っていた。自分は普通ではないと。
羨ましかった。特別でいるのに普通でいる貴女が。
妬ましかった。自由でいれる貴女が。
死にたいとなんど願ったか。
生きたいとなんど思ったか。
愛される自分を何度夢見たか。
私は知らなかっただけだ。
知ろうとするのを怖がった。
自分はいつまでも可哀想な子として構って欲しかった。
本当は、私は。
「──私は、愛されていたんだ。」
特別として。強き者として。
──あぁ、馬鹿だ。私は馬鹿だ。
無いものを求めた。手に負えないものを欲しがった。
平等に与えられないものを他人以上に求めた。
私が16になる年にナイトレイブンカレッジに入学した。
私は強大な魔力があるから。
当時はユキノコとしての役目があったが、ナイトレイブンカレッジという有名校から呼ばれるのは嬉しかった。
自分を見てくれている気がした。
実際に学園に入学して、色んな人が声を掛けてくれた。
対等な関係が嬉しかった。
向けられる笑顔が嬉しかった。
──監督生がこの学園に来た。
それから私は全てが崩れた。
今までつくっていた僕が苦痛になった。
今までの私に戻ってやりたかった。
可哀想だと自分に思い込ませた。
監督生が可哀想だと勝手に同情した。
闇が私を飲み込んでゆく。
月日が経った。
故郷に帰ったら私はもう用済みだった。
学園に戻った。
全てを失った。
消えたいと思った。
気づけば闇の中にいた。
冷たい氷が私を閉じ込めて、冷えた空気が肺を凍らせるようで痛い。
痛い痛い痛い痛い。
肺が、凍てついて痛い。
苦しい苦しい苦しい苦しい。
呼吸が出来ない。
怖い怖い怖い怖い。
暗くて何も見えない。
───違う。
痛いのは肺じゃない。
心だ。
呼吸は出来なくない。
わざと息を止めているんだ。
暗くない。
知ることか怖くて目を閉じてるだけだ。
こんな自分嫌いだ。
なりたかったのは醜い私じゃない。
間違えた。
一体どこで間違えた?
学園に帰ってきた時?
故郷に帰ってきた時?
学園を抜け出した時?
監督生から記憶を奪った時?
監督生を慰めた時?
監督生がこの世界に来た時?
私が男の子を演じた時?
私がこの学園に入学した時?
私がユキノコになった時?
いいや、違う違う。そんな事じゃない。
私が、生まれた時?
そうだ。その時だ。
刹那の景色が色褪せた。
507人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
∞輪廻∞(プロフ) - アイスさん» ネージュはフランス語で雪という意味があるので、そう命名しました!そういう質問待ってたありがとうありがとう!! (2021年6月29日 16時) (レス) id: a7a0dcccc8 (このIDを非表示/違反報告)
アイス - こんにちは。とても面白くてすぐに読み切ってしまいました。ところで、夢主ちゃんの名氏が「ネージュ」ですが、なにかネージュ君と関係があるのでしょうか? (2021年6月28日 21時) (レス) id: 50003851a2 (このIDを非表示/違反報告)
∞輪廻∞(プロフ) - 夢色ふぅなさん» そういう反応を待ってたよぉぉ!!!()ありがとう!!無事完結出来て良かったです!ありがとうございました! (2020年11月28日 22時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
夢色ふぅな(プロフ) - 最後号泣しちゃいました…()とっても面白かったです…!! (2020年11月28日 22時) (レス) id: 4a2b5a8613 (このIDを非表示/違反報告)
メロンパンの皮(プロフ) - 灰鴉さん» あっ..........しくった........教えてくれてありがとうございます!すみません直しておきます!指摘感謝です! (2020年11月18日 21時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:∞輪廻∞ | 作成日時:2020年10月24日 23時