幹部日誌

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「今日はいつもの河辺にいないな…」




―――少年中島敦は人探しの真っ最中だ





形相の変えた仕事場の上司が怒り狂っていた為
自分が探しに行きますと言わざるおえなかった、




どうせ今日もその辺で入水でもしているのだろうと
いつもの河辺で無駄に包帯を身体中に巻きまくっている上司をさがしているのだがなかなか見当たらない






今日は別の川で入水しているのだろうか、？
或いは海…？良からぬことばかり考え始めたころ
河辺の草むらに女性が静かに川を見つめていた






「あの、ここで包帯を身体中に巻いた長身の男の人を見かけませんでしたか？」




すると女性は振り返りその艶やかな髪を靡かせ言った




「いいや、私はさっきここに来たの
貴方がここで初めてみる人よ」






微笑みながらそう答える女性に敦の胸は高鳴った
端麗な容姿に絡まることを知らない其の美しい髪は
敦だけでなく街中を歩けば振り返る人は大勢いるだろう




―――これが大和美人とでもいうのか





なんて呑気なことを考えていると






『少年、ここ出会ったのもなにかの縁だ
自己紹介でもしましょう
私の名前は二階堂A宜しくね』




「っあ！僕中島敦と言います！！こちらこそ宜しくお願いします！！」






Aから差し出された手を握り返すと
なにか思い出したかのように





『すまないね、もう少し話していたいところだけど仕事仲間に呼ばれているのを忘れてた…
またの機会に』




「こちらこそ突然話しかけてしまってすみません！」





それじゃ行くよとAは敦に手を振り歩き出した





敦はその後ろ姿を見据えながらまたの機会と言った彼女の言葉が頭で再生されていた




―――まるで次会う約束をしている様だ






瞼を薄め余韻に浸りながらも上司探しを再開せねばと歩き始めたのだった

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