メサイア番外編~etude~ (ページ10)

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出会い1 ページ10

・＊光織side・＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊・
僕はあそこで死んだ。
自分から死んだ。
もう生きている意味が無いと思ったから。

ではここで、僕と嶺二さんの出会いを語ろうと思っている。
周が知らない、僕が恋に落ちた理由。

出会ったのは随分前だった。
星廉がいなくなってちょっと経った頃に、まだ生きていた白崎、そして高野と三人で嶺二さんのいる刑務所に向かった。
刑務所は新しくて、ずいぶんと綺麗だったなと記憶に残っている。
そしてそこで嶺二さんと出会った。
初めの印象は……綺麗な白い人だと思った。
白い服を着ていたからかもしれないけれど、白、というイメージが強かった。
そして、僕の心を掴んで目は彼しか移さなかった。
向かいには元評議会の方がいたらしいんだけど全く気づかなかった。
それほど僕は彼に見とれていたんだ。

それから話しかけられたのは、ちょっとあとだった。
恐れ多くて話しかけることなんて出来なかった。
白崎と高野が話しているのを後ろで聞いているばかりで、彼の目になんて留まってないと思っていたんだ。
「君は…」
「えっ。」
白崎が少しこの場を離れた時、彼が僕を見たんだ。
彼の目の中に、僕がいる。
それだけで嬉しいのに声までかけてきてくれた。
「君の名前は、なんて言うんだい？」
名前を聞かれ慌てて答えたのが今でも最近のように思いだせる。
「え、えっと！沙耶、沙耶光織と言います！！
あ！光織って漢字は、普通の虫の蛍じゃなくて光るに織田信長の織で……」
「光織か、綺麗な名前だな。」