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Second~Two years ago~ ページ4

「…俺と立花は、付き合っています。」

テーブルを囲む5人の少年が息を呑んだ。

「…本当なの?アーヤ。」

沈黙を破った少年は、引き攣った笑みを浮かべて訊く。

視線の先には、俯いたまま座る少女がいた。

「…ほんと、だよ。」

少女の声は掠れ、微かに震えていた。

「今まで言えなくてごめんなさい。…kzは恋愛禁止だから、中々切り出せなくて。」

「…マジかよ。」

中心に座っていた少年が立ち上がる。
癖の無い前髪から覗く瞳の底に、燃え上がる様な意志の塊が光っていた。



それは、怒りであり。


そして、哀しみだった。



「…っなんで、」

「若武、落ち着いて。」

「若武、私。」

「アーヤは大丈夫だから。何も言わなくていいよ。」

2人の少年に抑えられ、少年と少女は見つめ合った。


否。

睨み合った。


少女を見つめる少年の目が湛える怒り。

少年を見つめる少女の目が抱える決意。


その視線にただならぬものを感じたのだろうか。

「…アー、ヤ?」

放心したように黙っていた少年の一人が、少女に向かって声を掛けた。

…少女は、返さなかった。

少女の眼中には、その少年の姿などなかった。

ただ真っ直ぐに自分を睨む、炎のような少年だけを、真っ直ぐに睨んでいた。

「…上杉。」

無言だった、腰まで届く長い髪の少年が気怠そうに言った。

「お前さ、いつから立花と付き合ってたの。」

問いかけられた少年は、少し考えてから答える。

「…中1の終わりからだ。」

「じゃあもう半年も経ってるわけか。」

問いかけた少年が溜息混じりに続る。

「お前はともかく、立花がそんなに長い間秘密を抱えられていたとはな…しかも、それに俺達の誰も気がつかなかったのか。…何でこのタイミングなんだ。」

「…あ…立花が、今日言おうって言ったんだよ。さっき。」

少年が下を向く。

連動するように下を向き、耳の縁を赤く染める少女に、炎のような彼は今度こそ激昂した。

「お前ら何考えてるんだよ!いいか、kzは恋愛禁止だ!元はと言えばアーヤ、これはお前が言い始めたことだろうが!」

彼を抑えていた少年の腕を力ずくで振り切り、少女に詰め寄る少年は、もう誰も制御できなかった。

止める他の少年たちの声を無視して、少年は少女の制服のリボンを掴んだ。
そのまま持ち上げ、もう片方の手で襟元を掴む。

「お前はkzを乱した。…どう責任取ってくれるんだ?」

彼の瞳に映る自分を見ながら、…少女もまた、激昂していた。

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しーら - おもしろいですね!!楽しみです、頑張ってください!! (2020年2月20日 17時) (レス) id: fcbb1959fd (このIDを非表示/違反報告)
ききょう(プロフ) - ももりんごさん» コメントありがとうございます!亀更新ですができるだけ頑張るので、ぜひよろしくお願いします。 (2020年1月23日 7時) (レス) id: 41db9f3d9e (このIDを非表示/違反報告)
ももりんご - 面白かったです。これからの展開、どうなるんだろう…更新頑張ってください! (2020年1月23日 6時) (レス) id: d051f51274 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ききょう | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/4be23582751/  
作成日時:2020年1月12日 11時

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