転生スパイ少女はヒーローになる【スパイ教室×ヒロアカ】 (ページ14)

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心の奥にある記憶ページ14

戦闘訓練のあと、1年A組の生徒達は反省会を開いていた。

　「Aちゃんすごかったね！」

　そう目を輝かせているのは、お茶子。

　「ありがと。お茶子ちゃんこそ、手段こそ乱暴だったものの素晴らしかったね」

　「ほんと！？嬉しいなぁ」

　満面の笑みを浮かべるお茶子に、Aは思わず「可愛い…」と呟いてしまう。

　「今回の戦闘訓練を見て思ったけれど、今年のA組は轟くんや爆轟くんを筆頭にかなり実力者が揃っているね…。緑谷くんもすごかったし」

　「デクくん痛そうだったなぁ…」

　「彼、大丈夫でしょうか…？」

　今回の訓練で一番怪我が重かったのは緑谷だろう。傷だらけでリカバリーガールの元へ運ばれていた。その状態でもお茶子との連携プレーを実現させたのはさすがだが。

　「緑谷くんの心配をするのは分かるけれど、そろそろ帰った方が良いんじゃない？日が暮れそう」

　既に外は暗くなり始めていた。はやく帰らないと親も心配するだろう。

　「あ、確かに」

　「そうですわね。私も帰宅しませんと…」

　「私はもう行くね。また明日」

　かなり仲良くなったお茶子と百に手を振り、Aは教室を出た。

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　「ただいま」

　Aが住む家は、雄英の最寄り駅から4駅分離れた場所にある。大学に通う兄、一ノ瀬律と2人暮らしだ。

　「お帰り」

　既に帰宅していた兄は、夕食の準備をしていた。

　「雄英はどんな感じなんだ？友達はできたか？」

　妹が学校でうまくやれているのか不安なのだろう。テンション自体は低いが、若干シスコンムーブを出していた。

　「問題ないわ。仲良くなれた子はいるし」

　「そうか」

　それを聞いて安心したのだろう。再度夕食作りに集中している。

　「手伝う」

　「…じゃあ、ポテトサラダ作ってくれるか」

　「わかった」

　そのやり取りに多くの言葉はない。兄妹同士、否、前世の幼馴染同士の心地良い静かな時間が流れていた。

　──前世での幼馴染同士。

　その事実を、2人はまだ知らない。