51 ページ7
貴方side
太宰治から離れたあと私たちは電車に揺られていた。
気持ちが落ち着かないまま。
嫌だ。考えたくない。顔を見たくない。何故。何故彼奴が。
裏切りものに、私が育てられたなんて。
信じたくない。
ぐるぐると嫌な思いが私の頭に流れ込んでくる。
「･･･お姉さん大丈夫？顔色悪いよ？」
『･･･大丈夫です。心配いりません。』
そう言ったものの私の気持ちは変わらないままでいる。
何故言わなかったのか。何故隠していたのか。何故私の周りの人も言わなかったのか。何故･･･何故･･･
浮かぶのは疑問疑問疑問。全て分からない。そして思い出そうとしても霞がかかったように思い出せない。
気持ちが悪い。
吐き気がする。
体調が悪くなり始めると同時に列車が目的地について停る。
『･･･車が近くに止まっています。行きましょう。』
「う、うん。」
列車を降り、いつも通りの黒い車に向かう
自動でドアが開きそのまま車内に入る
『本部まで』
「おう。」
いつもの調子で要件を短く伝えたが、帰ってきた声は何時もとは違う声色をしていて絶対に聞いたことがある声をしていた。
『･･･中原幹部。』
「本部までだろ。俺も丁度
『そうですか。ありがとうございます。』
其の儘車に揺られ時は過ぎてゆく。
久々に異能を使ったのかQは車内で眠っていた。
すると黙って運転をしていた中原幹部が口を開く
「お前。なんかあったか？」
『･･･』
「なんかあったら俺にでも相談してくれてもいいんだぜ？」
『では、質問してもいいですか？』
「嗚呼。」
言うのに口が思いだが言わなければここで後悔するかもしれない。
重い口を開き質問する。
『太宰治と私は昔関係があったのですか？』
そういうと車が急に止まり運転席に居たはずの中原幹部が後方の私が座っている席に向けて身を乗り出していた。
そして彼はわたしの目の前に行き鋭い目付きで私と目を合わせる。
「思い出しちまったのか？」
どうやら彼は知っているようだ。
『･･･私の質問に答えてください。何か、関係があったのですか？』
念を押して言うと彼は唯黙ったまま元の運転席に戻り車を再度動かした。
「太宰に聞いたんだな？」
『･･･はい。』
「あの野郎･･･はぁ、まぁいい。癪だが、今度あのクソ鯖とあって話をしたらどうだ。彼奴から聞いた方が断然早い。だが今は辞めとて。なんたって抗争中だからな。」
彼奴と話をする。
私は不意に唇を強く噛んでしまった。
口いっぱいに血の味がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かるーあ(プロフ) - 初レス失礼します。いつも愛読させて頂いてます。スランプとか、やっぱりありますよね！私も一応作者なので解ります‼︎応援しながらのんびり更新待ってますね^^どうかご無理だけはなさらず！ (8月7日 18時) (
レス) @page20 id: 33aaf0fec0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朝はパン派 | 作成日時：2023年7月3日 5時
