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Aside


首領室を後にし、私は部屋に戻る。

部屋に戻っても外では五月蝿い爆発音屋悲鳴が響き渡っていた。


『五月蝿いっ!!!』


先程の件もあり腹が立ち華が刺さっていない花瓶を壁に叩き付ける。
パリンと鈍い音が部屋に鳴り響く


『はぁ、はあ、何でみんな馬鹿なことしかやらないんだ・・・!もっと!もっと他にあっただろう!!!』


誰にも聞こえない私の叫びを吐き出す。
全て吐き出しその場にしゃがみ込む。花瓶の瓦礫が脚に刺さる。



『・・・・・・そうだ、Q・・・あの子は何処に』




しばらくするとふとQのことを思い出す。


ゆっくりと再度立ち上がりゆらりと窓の方に歩む。
窓の外を覗くと先程までの五月蝿い爆発音や悲鳴がピタリと無くなっていた。
不審に思い空を見上げると何かが浮いているのが見える。

『・・・白鯨(モビー・ディック)?』


書類で見た組合(ギルド)の拠点に似ていた事からきっとそれだろうと予測する。

そしてもう一度下を見るとマフィアの構成員だと思われる人々が倒れていた。
その人の顔に痣があったのが遠くからだが僅かに見える。


『・・・Q。』


それはQの異能を発動した際につく痣だった。
つまり、Qは組合(ギルド)に捕まっているということだろう。


『不味い、』

そう思っても私は唯無力だ。助ける事も、救うことも出来ない。
単独で行動なんて以ての外。


段々と自分の存在主義が分からなくなっていく。
自分の生き方に分からなくなるのは今日が初めてだろう。
段々と心が鬱憤していく。


相場に蹲り消えたいと考える。


その時何時か読んだ本の言葉を思い出す。


''幸福人とは、過去の自分の生涯から満足だけを記憶している人々であり、不幸人とは、それの反対を記憶している人々である。''



何時読んだのか、分からないが頭にこびりついて離れない。
今不幸人である私は満足していない事の記憶ばかり探っているからこんな気持ちになっているのではないか。

ならば、幸福人になれば良いのではないか。

自分の満足した作戦案を考えて自分が出来ることを考えるしか今の私には救いはないのではないか。

私は血が流れる脚を後にして机に向かって作戦案をかきだした。


『(不幸人が幸福人に成り上がれるように)』




たくさんの思いを込めて。



















''幸福人とは、過去の自分の生涯から満足だけを記憶している人々であり、不幸人とは、それの反対を記憶している人々である。''

萩原朔太郎 「絶望の逃走」より

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かるーあ(プロフ) - 初レス失礼します。いつも愛読させて頂いてます。スランプとか、やっぱりありますよね!私も一応作者なので解ります‼︎応援しながらのんびり更新待ってますね^^どうかご無理だけはなさらず! (8月7日 18時) (レス) @page20 id: 33aaf0fec0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朝はパン派 | 作成日時:2023年7月3日 5時

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