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玉入れの玉を移した袋を持ち上げ、棚にしまおうとすれば、横から、また直ぐに手が伸びてくる。
重「Aは、もう、ええよ。後は俺一人で」
このくらいの力仕事なら、ミナコさんのお店の手伝いで何度もしてる。運ぶお酒は、この玉の重さとは大差ない。
邪魔なのかな。
もしかして、遠回しに気まづいって、、
分かってるのに、結果は同じなのに、
何故か今回は気持ちの収まり方がわからない。
濱田さんに抱いた気持ちと、彼に抱いている気持ちは全く異なって
理解もできない。
子供過ぎて、上辺の優しさに甘えただけの恋に比べて
対等の立場の友達から、優しさに依存した恋の方がややこしい。
「ごめん。」
重「いや、これ重いし。今日は特に疲れたんちゃう?」
「それは、重岡くんでしょ?太鼓凄い頑張ってたじゃん」
重「あれは、逆にストレス発散になんねん!」
ほら、その笑顔。
嘘だとしても私は安心する。
重「あ、これ、穴空いとるやん」
「ほんとだ」
棚にしまった袋。小さめの穴が空き、玉が出そうになっていた。
「ガムテープで止めよっか」
重「抑えてるから、貼って」
少し高めの棚に置かれた袋に手を伸ばす重岡くんの横から、
さらに背伸びをしてガムテープを貼る。
重「よーし!っ、、」
手を離し、横を向いた重岡くんと私の距離が知らずと近かった。
「あっ!」
後ずさり、距離をとろうとした足場に玉が転がっていて、よろけた身体を彼の腕が支えた。
腰に回った彼の腕と、彼の肩に置いた私の手
少しの間、静かにその場で留まっていた。
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作者名:のんれもん | 作成日時:2021年2月24日 19時