推しは守り助けるもの 漆【鬼滅の刃】

肆佰拾伍の型 ページ15

．








錆兎side





ああ、嘘だろ





A、




A、





「Aッ！！！！！！！！」







俺の命の恩人


俺の仲間


俺の憧れ


俺の最愛






足に力が入らない




立てない




A、生き返れ、お前は死ぬべき人間じゃない




相打ちなら俺がする




だから死ぬな、生きてくれ




もう存在しないAに願っても届くことは無い






ボロボロ溢れる涙と同時に、思い出が蘇る










十三の時に初めて会った



最終選別で死ぬところを助けてくれた



周りとは違い大人びたAに俺は惹かれた



大人っぽい性格の中で偶に見せる無邪気な笑顔を見て、弓矢で射抜かれる様に恋に落ちた




Aは優しかった




人にも動物にも、そして鬼にも




最終選別の最後で抱きしめて怪我を治してくれたな




それからしばらくして飯にも行った



同じ任務にも行った




土産を買ってきてくれたこともあった




あの甘味はこの世のどの甘味より美味かった




Aの旧家の掃除に義勇と三人で行ったりした




俺の告白にAが照れて倒れたこともあった




あの時はもう、言葉で表せないくらい好きの気持ちが高まったよ




「ｯ…」




それから、それから、思い出はたくさんある




泣いては駄目だ




男が泣くなど言語道断




あってはならない





涙を一生懸命拭う






それでも蘇る数々の思い出に涙が溢れ、止まらない




ああ、会いたい



触れたい



この目で、この手で、




神様頼む、お願いだから






もう一度チャンスをくれ…





頼む…

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