双子vs双子【宮侑】 (ページ7)

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「ツム、世界史の教科書貸してや」

「今日は世界史ないから持っとらん」

　宮(治)くんが宮(侑)くんに教科書を借りに来た。
　だがしかし、持っていないらしい。

「わたし持ってるよ、貸そうか？」

「おおきに。………自分があのAさんか」

「そうだけど……」

「ツムが迷惑かけたって聞いたわ。堪忍な。顔に免じて許したって」

「あはは、もう許してるよ。宮くん、面白いね」

　すらっと口から出た冗談に、思わず笑ってしまった。

　そのまま会話を続ける。

　あと1分で授業始まるから、ばいばい、と手を振って別れる。

　宮くんに視線を戻すと、宮くんはムスッとして言った。

「…………名前でええ」

「え？」

「侑って呼んでええ！……って、言ってんの……」

　くす、と笑みが零れる。

　宮くん、いや、侑くん。耳が真っ赤だ。

「おおきにな、侑くん」

「いま、馬鹿にしたやろ」

「ええ、そんなことないよ」

　俺が名前呼びを直々に許すなんて限られた行為やぞ、と侑くんは恩着せがましく言った。

　その耳はまだ赤いままで。

　これは、期待しても……いいかな。