奪いにおいで【ツイステ短編集】

ゴーストマリッジ『エース』 ページ40

「なにしてんだよてめえら！」


「一番最初に振られた人に言われたくありませんね！」





先程まで転がっていた身体が6体から11体に増えた

それは追加の5人が見事に玉砕した事を表す








「第2陣も撃沈ですか……」



状況は深刻であった


クロウリーが曇った顔をしていると4人がフィッティングルームから出てきた

どうやら着替えが済んだらしい




4人はスーツに着替えていた
各々が個性の出た正装姿はとても様になっており、恥じらうようでいて着せられていない感じがさらに魅力をかもし出す






「みんなが着ているのは、古の魔法が込められた『求愛のタキシード』！これを着た人間は、ゴーストにとってとても魅力的に見えるんだとか」

「……男のゴーストを魅惑してもねぇ…」




着た意味をイマイチ理解できないエースは不服そうに胸元のブローチを弄っていた

NON！とサムが大声を上げた




「小鬼ちゃんは今ゴーストの呪いに掛けられている！即ち今のあの子は半ゴースト化しているのさ」

「……ってことは」

「Yeah……あの作戦を遂行するのにピッタリだろう？」




フフ、といつもの内の見えない笑みを浮かべる

あの作戦。とは勿論Aを救い出しかつゴーストを退治する作戦なのだが

エースが照れたように頭をかく


その瞬間店内の時計が不穏な音で反響した

いよいよ、作戦1時間前







「……もう少しだけ待っててくれよ…」


リングケースとブーケを握りしめ不安に押しつぶされないよう必死に力を込めた

後ろからポン、と叩かれた暖かい腕は3人分であった









ーーーーーーーーーーーーーーー






「……行って、みんな！」

「エペル！お前一人じゃこの数は……！」

「か弱いなんて、なめられたままじゃいられない。こいつらに目にもの見せてやらないと」




「……ハハッ。負けず嫌いなやつ」







エペルに背を向け一直線に走り始める



もう学園内に入ってからどれ程のゴーストを倒しただろうか分からない

今まさに作戦実行中だった



これまでリドルもルークもエペルもみんなエースの背中を押してくれた



……この結婚式はエースにしか止められないからだ








走り抜けゴーストを振り切りようやっと到着した食堂の前に立つ

式に参列しているのか扉の前には誰もいなかった









バーン！！






大きな扉をおもいっきり開くと大きな音がたつ


倒れている生徒や参列者全員がエースに視線を奪われた



エースは息を吸い込み力の限り叫ぶ









「その結婚ちょっと待ったーーーー！！！！」

ゴーストマリッジ『エース』→←ゴーストマリッジ『エース』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す