勇次郎くんの許嫁『染谷勇次郎』

なな ページ9

『ねえねえ榊さん。榊さん本当に可愛いね〜いい香りもするし！香水とか何使ってんの？』


『それにさ！清楚感やばいよね！お嬢様なんだって？』


『おうちとか、どこにあるのー？』






｢香水はしておりませんよ。家はここから割と遠いところにあります｣


『『『へー！！』』』







たくさんのクラスメイトに囲まれて質問。返答。質問。返答をかれこれ数分は続けているある日の昼休み


いくつも褒めていただくからとても返答に困るところもあるけれど





『Aちゃんってさ。前はあのすっごいお嬢様学校だったんでしょ？なんでうちに転入してきたの〜？』



『あ！それ気になる！』





｢……そうですね……｣



チラリ、と近くの勇次郎さんを見るとギロリと鋭い眼差しを返される



これは、言うなという合図とお受けした方が宜しいのだろうか


……とは言っても本当にそのために転入してきたのだから他に理由などないの


考えに考え思いついた。この間、約3秒







｢……私のところ。ジャンパースカートなんです。1度プリーツスカートも履いてみたいと思っていたらここの制服がとても可愛くて……つい｣








……





あら




皆さん黙ってしまったわ









『…………ﾌﾟｯ』



大爆笑が私の周りを支配する



なぜ笑われているのかが分からず、きょとんとしてしまう

収集のつかないこの状況にどうすればいいのか分からなくてちらりとひよりちゃんを見る



ひよりちゃんまで頬をリスのように膨らませて笑いを我慢していた


次に勇次郎さんを見ると信じられない、といった呆れた顔を見せられた








『そ、それだけ！？やっぱりお嬢様の考えることは違うなあ！』




『あーもー……Aちゃんって本当に可愛いね。ねえAって呼んでいい？』


『私も』

『私も……』

『こっちはしおりって呼んで……』





｢勿論。よろしくお願いします皆様、しおり様｣


『『『『ﾌﾞﾊｯｯｯ!!!!!』』』』

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